1. NTTドコモ、株主向け情報には、携帯電磁波のリスクを通知「電波と健康問題に関連性がないことを示す保証はありません」

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2013年08月13日 (火曜日)

NTTドコモ、株主向け情報には、携帯電磁波のリスクを通知「電波と健康問題に関連性がないことを示す保証はありません」

ある朝、ベランダに通じる戸を開けると、向かいのマンションの屋上に立った見慣れない棒状の物体が視界に飛び込んでくる。グロテスクな印象があるが、それを何であるかは分からない。そのうち頭の中でセミが鳴いているような感覚に襲われ始める。頭痛がする。夜中に目が覚めるようになる。

近くの主治医に足を運び、血液検査をしたり心電図を取るが何の異常もない。結局、単なる体調不良だと思い、そのまま放置してしまう。

こんな体験がある読者は少なからずいるのではないか。ようやくグロテスクな物体の正体が携帯電話の基地局であることや、携帯電磁波の影響で健康被害が多発していることを知り、電話会社に抗議の電話をするが、「国が定めた電波防護指針の規準を守ってやっています」とそっけなく言われる。これもいまや当たり前の光景になっている。

携帯基地局が新たに設置された地区の人々に、

「基地局が設置される前は、携帯電話が通じなかったのですか」

と、尋ねてみると、たいていは「通じていた」という返事がある。

それにもかかわらずなぜ、次々と基地局が新設されたり、既存の基地局に、住民に通知することもなく新たな機能が加えられるのだろうか。推測になるが、スマートフォンやワイヤレス・ブロードバンドの爆発的な普及がその背景にあるようだ。

◇電話会社はリスクを知っている  

多くの住民は電話会社の対応テクニックにも感づいている。彼らは、携帯基地局の危険性を住民から指摘されても、「安全です」とか、「人体影響はありません」とはめったに言わない。その代わりに、「国の安全基準を順守しています」と答える。オウムのように何度も繰り返す。

それでも住民側が引き下がらなければ、

「それでは電磁波の測定をしましょう」

と、来る。そして実際に電話会社の社員が、高周波の測定器を持参して、係争の的になっている基地局にやってくる。数日後、測定結果がでる。

ちなみに安全基準の国際比較は次の通りである。

日本:1000μW/c? ?

?UEの提言値:0.1μW/c?

ザルツブルグ市の目標値:0.0001μW/c?

電話会社が測定した結果、たとえば1μW/c? という数値が出たとする。すると会社員は、誇らしげに、

「われわれは国の規制値の1000分の1で操業しています」

と、言う。が、日本の規制値そのものが異常なのだ。

(規制値がおかしい理由については、黒薮執筆の次の記事を参照=ここをクリック)??

◇株主には電磁波のリスクを通知

しかし、電話会社も株主に対しては、電磁波問題のリスクを開示せざるを得ないようだ。次に示すのは、NTTドコモの株主向け情報の一部である。

「研究や調査が進むなか、当社グループは積極的に無線通信の安全性を確認しようと努めておりますが、更なる調査や研究が、電波と健康問題に関連性がないことを示す保証はありません。」

(出典は、次のリンク先の【12】=ここをクリック)

本来、電磁波が健康被害をもたらするリスクがあるのなら、安全性が確認できるまでは、操業しないのが、公害防止の原則である。ところが日本の電話会社は、電磁波と健康被害の因果関係が科学的に立証されるまでは、基地局を操業してもいいと考えている。

しかし、それでは公害を防ぐことはできない。公害では、健康被害の事実を最優先しなければならない。