1. 携帯基地局の撤去を求める三潴(みずま)裁判では、 住民を工事妨害で裁判所に引っ張り出した過去 NTTドコモの手口

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2013年07月18日 (木曜日)

携帯基地局の撤去を求める三潴(みずま)裁判では、 住民を工事妨害で裁判所に引っ張り出した過去 NTTドコモの手口

NTTドコモは、過去に住民との間にどのようなトラブルを起こしてきたのだろうか?福岡県の三潴(みずま)町(現在は、久留米市に編入されている)のケースを紹介しよう。

三潴町の生岩地区で、NTTドコモによる基地局を設置計画が発覚したのは、1999月である。現地の人々は、住民運動を組織して、反対署名に乗り出した。同時に別の候補地を探す作業にも着手した。

両者は延々と話し合いを重ねた。 ? 2001年5月に、ドコモは工事現場に重機を持ち込んだ。 ? 結局、双方が納得できる結論には至らなかった。

『隠された携帯基地局公害』(緑風出版)は、NTTドコモが工事を再開したころの様子について次のような重要な事実を記録している。

 工事再開が告げられ、当日は、ドコモは約30人の作業員、ガードマン、カメラマン等を引き連れて工事に来て住民を写真・ビデオを撮りまくって1時間ほどで早々に引き上げていった。

問題はドコモが次に取った行動である。同書によると、

2001年の師走の12月26日、突然裁判所から2002年1月9日に出頭命令が届き、ドコモから工事妨害で訴えられていたことが判明。弁護士事務所は正月休みに入っており、やっと1月7日に馬奈木昭雄弁護士に代理人を引き受けて頂いた。ドコモの姑息で卑劣な手口を知って住民の結束が固まり、2002以降、ドコモを告発した裁判を開始した。

このところSLAPP(訴訟を起こすことで、経済的にも精神的にも住民運動体を追い詰め、言論や集会結社の自由を抑圧する戦略。小泉内閣主導の司法制度改革の時代に浮上してきた。)が流行しているが、2001年ごろには、すでにそれに類似した事件が起こっていたのである。

結論を先に言えば、この裁判は住民側の敗訴だった。本サイトで既に述べたように、結審の日に裁判官が交代した。新任の田中哲郎裁判官は、三潴訴訟よりも先に結審した裁判で、住民を敗訴させた人物である。その田中裁判官は、三潴訴訟でも、住民を敗訴させたのである。

◆チラシによるピンポイント反撃を

NTTドコモの基地局に限らず、携帯基地局の設置を阻止する方法として、有効なのはピンポイントで特定地域に、集中的にチラシを配布して、携帯電磁波のリスクを知らせることである。?? ピンポイントとは、具体的には、携帯基地局である。たとえばあるマンションの上に携帯基地局が立っているとする。この場合、チラシ配布のエリアは、マンションとその周辺ということになる。

携帯基地局の所有会社を特定する必要はない。1社が強引に基地局設置を行えば、他社にも「迷惑」が及び、基地局に反対する人々がネズミ算式に増えていくシステムを構築する必要があるからだ。交渉が長引けば、ピンポイントはどんどん増えていく。

新聞にチラシを折り込む戦略は、ほとんど効果がない。受注しない可能性や、チラシの一部を破棄する可能性があり、予算が限定されている住民運動にとっては、得策ではない。

(参考:馬奈木昭雄弁護士 講演要旨『人体実験を許すな。携帯電磁波の危険性』)