1. 携帯電磁波の人体影響を問う延岡大貫訴訟の控訴審が始まる 争点は「ノセボ効果」

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2013年03月27日 (水曜日)

携帯電磁波の人体影響を問う延岡大貫訴訟の控訴審が始まる 争点は「ノセボ効果」

携帯電磁波による健康被害を理由に、宮崎県延岡市の住民30名がKDDI基地局の操業停止を求めた宮崎大貫訴訟の控訴審が13日、福岡高裁宮崎支部で始まった。原審は基地局周辺の住民の間に、耳鳴り、肩こり、鼻血等の共通した健康被害が発生している事実については認めたが、その原因は「ノセボ効果」にあるとして、住民の訴えを棄却した。

控訴審では「ノセボ効果」の有無が最大の争点になりそうだ。

【ノセボ効果(ウィキペディア)】 ?

薬の臨床試験における偽薬の役割は、非常に重要である。薬を飲んで治療効果があったとしても、それが偽薬効果によるものなのか、本当の薬理作用によるものなのかを区別する必要がある。治療効果を調べる際には、被験者の同意の下、出来るだけ偽薬を用いた比較実験を行うことが、学問上の研究の信頼性を得るためには必要とされている。 ? 特に偽薬によって、望まない副作用(有害作用)が現われることを、ノセボ効果(ノーシーボ効果、反偽薬効果、nocebo effect)という[3]。副作用があると信じ込む事によって、その副作用がより強く出現するのではないかと言われている。 ? また一方、薬剤投与を継続していても被験者が「投与なし」と思いこむことによって薬剤の効果がなくなるケースがあり、これをノセボ効果と呼ぶこともある。

わたしは延岡市の基地局問題を取材してきたが、健康被害の原因をノセボ効果とする裁判所の見解には納得できない。と、言うのも住民の中には、耳鳴りを経験したのち、その原因を確かめる中で、基地局から電波が発信されていたことを知ったひとも複数いるからだ。

それにノセボ効果により、複数の人に鼻血のようなドラスチックな症状が出たという話は聞いたことがない。

携帯電磁波がもたらす人体影響については、医学的な因果関係は完全には解明されていない。が、それが人体影響がないことを意味するわけではない。現代医学の力量で謎を解明できないに過ぎない。

このようなケースでは、安全性が完全に確認されるまでは、最悪の事態を想定して対処するのが常識だ。と、いうのも放置すれば、不特定多数の人々に深刻な被害が及ぶリスクがあるからだ。まして延岡市のケースでは、実質的にさまざまな健康被害が発生している。

◇日本の安全基準

ちなみに次に示すのは、900メガヘルツの携帯電磁波を対象した規制値の国際比較である。日本が採用している数値がいかに異常でデタラメかを示している。

ザルッブルグ(オーストリア):0.0001マイクロワット/?(目標値)

?EU            :0.1?W/?(提言値)

?パリ            : 1.0?W/?

?ロシア         ?? : 2.4?W/?

  中国?????????????????????? :6.6?W/?

日本           :600?W/??

(2000メガヘルツの場合の日本の基準値は、1000?W/?

なぜ、日本の基準は欧米とかけ離れているのだろうか。答えは簡単で、携帯電磁波が人体に及ぼす非熱作用を考慮していないからだ。

携帯電磁波には大別して2つの作用がある。?熱作用と?非熱作用である。

 ?の典型例としては、電子レンジにより食品を加熱できる事実がある。

?の典型例としては、放射線(携帯電磁波も放射線)によるDNAの破壊がある。同じ電磁波の仲間であるX線やガンマ線にDNAを破壊する作用があることは周知の事実になっているが、携帯電磁波にも同じ作用がある可能性が高いという見解が広がってきた。欧米諸国は、この点を考慮して、基準値を厳しくしているのだ。

事実、ドイツ、イスラエル、ブラジルなどで行われた疫学調査では、携帯基地局の周辺で癌の発生率が高い事実が報告されている。

日本が採用している600?W/?、1000?W/?は、熱作用だけを考慮した数字である。1980年代の古い研究データをもとに基準を設定したから、このような数字になるのだ。しかも、NTTの組合から多額の政治献金が流れているので、政治家も改訂しようとはしない。

裁判所も大企業のための法手続きをする機関と化しているので、電磁波問題にはメスを入れない。

参考記事:『住民「現実みてほしい」』(朝日新聞)