2022年02月21日 (月曜日)
5Gの基地局設置をめぐるトラブルが急増、後発の楽天に対する苦情が相次ぐ、マンション管理会社を巻き込んだ設置計画
携帯電話の基地局設置をめぐる問題は、だれにでも突然に降りかかってくる問題である。それを改めて実感した。時々、電磁波問題などで情報交換をしている友人が住むマンションの屋上に、楽天が基地局を設置する計画を打診してきたのだ。マンション管理組合の総会で採決を取ることになっているが、大半の住民は、委任状を提出して総会には参加しないので、理事長の意思で設置が採択される可能性が高い。大半の人は、電磁波による人体影響についての知識がなく、賃料が得られるメリットに飛びついてしまうからだ。
この友人は数年前に別宅のマンションで、同じ被害にあったことがある。
電話会社が、自社のビジネスのために次々と住民の生活環境を破壊している実態が改めて浮上した。
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先日、わたしが住むマンションの理事会があった。理事会が終わった後、管理会社の担当者に次のように尋ねてみた。
「最近、電話会社がマンション屋上に基地局を設置したいと打診してくることはありませんか」
「楽天さんからよく打診があります」
「かりにこのマンションに設置の打診があったときは、門前払いしてください。15年程まえにKDDIとドコモが、わたしの書斎の真上に基地局を設置する計画を打診して、揉めたことがあるんです」
「今のところこのマンションに建てたいという打診はありません」
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意外に知られていないが、マンションのベランダは共有スペースになる。屋上が共有スペースであることは周知されているが、実はベランダも共有スペースである。従って、管理組合が承諾すれば、屋上はいうまでもなく、ベランダに基地局を設置することも可能になる。
実際に、ベランダに設置された例は知らないが、屋上に設置された後、健康被害が発生した例は少なくない。低周波音に悩まされて、自宅を捨てた人もいる。電磁波による直接の影響を受けなくても、遺伝子のレベルで影響を受ける。基地局周辺に明らかにガンが多いという疫学調査(ドイツ、イスラエル、ブラジルなど)がある。
しかし、電話会社との契約期間(5年から10年が多い)が終わるまでは、基地局を撤去することはできない。健康被害が発生した場合、住民は我慢するか、引っ越す以外にどうすることもできない。
総務省や自治体に抗議しても、「国の規制値内で稼働していますから問題ありません」の一言で切り捨てられてしまう。ところが日本の規制値は、たとえば欧州評議会に比べて1万倍も緩やかに設定されていて、実質的には規制になっていない。次のような数値の違いがある。
日本:1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・ 平方センチメートル)
欧州評議会:0.1μW/c㎡、(勧告値)
ザルツブルグ市:0.0001μW/c㎡(目標)
※ザルツブルグの目標値は、現在は廃止されている。
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かつて国会では大河原まさこ議員(立民)や紙智子議員(共産)が電磁波問題を取り上げた。しかし、この問題を追及して規制を強化すると、スマホが身近な道具になっている若い世代の支持基盤を失いかねない。そのために国会議員はなかなか腰をあげない。その結果、水面下の大問題になっているのだ。
唯一の救いは、地方議会の中に熱心に住民からの相談に乗っている議員がいることだが、それも総務省の規制値の壁だけはどうすることもできない。しっかりしなければならないのは国会議員の方々なのである。