1. 電磁波問題で日弁連が意見書 政府、電話会社、学者に厳しい内容

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2012年10月14日 (日曜日)

電磁波問題で日弁連が意見書 政府、電話会社、学者に厳しい内容

日本弁護士連合会は、9月の中旬に「電磁波問題に関する意見書」を取りまとめて、環境大臣、経済産業大臣、厚生労働大臣、総務大臣に提出した。

内容は携帯電話会社の権益を優先してユビキタス社会の構築を目指してきた政府にとって極めて手厳しいものになっている。

たとえば電波の安全性を検証するための委員会を設けるように提言しているのだが、その組織のありかたについて、「業界を所管する省庁から独立した組織とし、その構成員は、関連企業からの利益供与の有無及び内容を明らかにした上で、電磁波の健康影響に関して見解を異にする様々な立場から選任すべきである」と述べている。

これまでは実質的に電気関係の団体がイニシアチブを取って、電磁波の安全性を検証することが多かった。そのもっとも典型的な例は、総務省に2007年まで設置されていた生体電磁環境研究推進委員会だった。

生体電磁環境研究推進委員会が研究を委託した団体のひとつに、テレコム先端技術研究支援センターがある。この団体の役員構成は次のようになっていた。

会長:安田靖彦(東大名誉教授)

常任理事:藍沢幹人(常勤)

理事:飯塚雄次郎(日立製作所)

理事:岩崎哲久(東芝)

理事:重松昌行(住友電気)

理事:田中茂(沖電気)

理事:古川浩史(KDDI)

理事:青木和之(元東海電気通信)

理事:伊藤浩司(日本電信電話)

役員構成からみて、電気関係の団体である。このテレコム先端技術研究支援センターが自らの裁量で学者を指名して、電磁波の安全性を検証させたのである。

研究員として指名された「学者」の中には、野島俊雄北海道大学教授のように元NTTドコモの社員も含まれていた。

彼らが行った検証結果は、2007年3月に公表された。研究は22項目あったが、電磁波のリスクを示唆する結論は1件もなかった。これらの結論に疑問符が付くことは、国際癌研究機関(IARC)が2011年5月に携帯電磁波の発がん性の可能性を示唆したことからも推測できる。

この研究のために総務省が、テレコム先端技術研究支援センターへ支出した国費の額は次の通りである。

2002年度分:3億6300万円

2003年度分:3億8350万円

2004年度分:4億5663万円

2005年度分:4億6620万円

2006年度分:4億2000万円

2007年度分:4億1323万円

参考資料:「電磁波問題に関する意見書」(PDF)?