第3種郵便物の認可基準を満たしていない毎日新聞、「押し紙」率20%を超えると基準外
「押し紙」問題を考える上て、意外に盲点になっている視点を紹介しよう。
読者は第3種郵便物制度をご存じだろうか。この制度は、定期刊行物の郵送料を安くして、購入者の負担を減らす制度である。この制度を使うと、50gまでの刊行物であれば62円で郵送できる。
しかし、認可を得るためにはいくつかの条件が必要だ。
「押し紙」と第3種郵便物制度の関係を考えるとき、次に示す認可条件のうち「7」に注目してほしい。毎日新聞社が認可条件を満たしていなことが判明する。
1.毎年4回以上、号を追って定期に発行するものであること。
2.掲載事項の性質上発行の終期を予定し得ないものであること。
3.政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、又は論議することを目的とし、あまねく発売(※)されるものであること。
(※)団体・個人等が一括購入後、第三者へ無料で頒布している場合や発売先を限定している場合はあまねく発売されていることにはなりません。
4.会報、会誌、社報その他団体が発行するもので、その団体又は団体の構成員の消息、意見の交換等を主たる内容とするものでないこと。
5.全体の印刷部分に占める広告(法令の規定に基づき掲載されるものを除き、心身障がい者用低料第三種郵便物は、外装に掲載される広告(法令の規定に基づき掲載されるものを除きます。)を含みます。)の割合が5割以下であること。
6.1回の発行部数が500部以上であること。
7.1回の発行部数に占める発売部数の割合が8割以上であること。
8.定価を付していること。 心身障がい者用低料第三種郵便物の料金の適用を受けるためには、第三種郵便物の承認を受けることに加え、心身障がい者団体であること等を証明する次の資料が必要です。
・会則、規約等当該団体への加入資格又は構成員が明らかになる資料
・公共機関(※)の発行した当該団体が心身障がい者団体であることおよび当該刊行物が心身障がい者の福祉を図ることを目的として発行されるものであることの証明書
◇毎日新聞の「押し紙」率36%の立証
上記の認可条件に記されているように、「1回の発行部数に占める発売部数の割合が8割以上であること」が認可条件になるのだ。と、いう事は、「押し紙」率が2割を超えている新聞は、第三種郵便物の認定を取り消すのが妥当ということになる。
次に紹介する内部資料は、毎日新聞社から流出したものである。この資料によると、2002年10月の段階で毎日新聞の「押し紙」率は36%にも達しており、第三種郵便物の認定基準を満たしていない。
■朝刊 発証数の推移PDF
PDF資料の赤マークの部分を注視してほしい。
・3,953,466:全国の毎日新聞販売店へ搬入される新聞部数を示している。約395万部である。
・2,509,139:「発証」数を示す。「発証」とは、販売店が読者に発行する新聞購読料の領収書である。約251万枚である。
つまり395万部の新聞が販売店に搬入されているのに、領収書は251万枚しか発行されていないのだ。両者の差異にあたる144万(部)が、一日あたりに全国で発生していた毎日新聞の「押し紙」という計算になる。率にすると搬入される新聞の36%である。
この数字は14年前のデータであるから、新聞離れが急速に進んでいる現在の時点では、さらに「押し紙」が増えている可能性が高い。「押し紙」問題はさらに深刻化している。
毎日新聞に対する第三種郵便物の認定は取り消すのが妥当だ。