1. 「押し紙」70年⑫ 第2次真村裁判、黒薮の取材を受けたことが改廃理由に、この裁判でも喜田村洋一・自由人権協会代表理事が読売代理人に

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2015年10月01日 (木曜日)

「押し紙」70年⑫ 第2次真村裁判、黒薮の取材を受けたことが改廃理由に、この裁判でも喜田村洋一・自由人権協会代表理事が読売代理人に

【サマリー】  第2次真村裁判とは、第1次裁判の判決確定により、YC広川・真村店主の地位が保全された7か月後に、読売がやはり真村氏に対して断行した販売店改廃に端を発した地位保全裁判である。結論を先に言えば、真村氏は敗訴した。

 この第2次裁判は、さまざまな問題を含んでいる。たとえば真村氏の解任を認める理由として、わたし(黒薮)の取材を受けたことなどがあがっている。
言論・表現の自由にかかわる問題が浮上したのである。しかも、新聞社がかかわっているのである。

 この裁判でも、やはり自由人権協会の喜田村洋一代表理事が、読売代理人として福岡へ通い続けたのである。

さて、第2次真村裁判を紹介しよう。

すでに述べたように2007年12月、第1次真村裁判の判決が最高裁で確定して、YC広川の真村店主は、店主としての地位を守った。ところがそれから約半年を経た2008年7月、読売は真村氏との取引契約が満期になったのを機に、契約更新を拒否した。真村氏は店主としての地位を失ったのである。

一見すると契約満期に伴う更新拒否であるから、法的に問題がないように思われるが、販売店を開業するにあたっては多額の投資をしていることや、新聞販売業が家業としての側面を持っていることなどからして、継続的契約とみなされ、正当な改廃理由がないのに、更新を拒否することはできない。

ところが読売は、最高裁で真村氏の地位保全が確定した7か月後に、YC広川を強制改廃したのである。見方によれば、司法に対する正面からの挑戦といえるだろう。自己中心的な新聞人の体質を露呈した事件ともいえよう。

◇真村氏が再び法廷へ

当然、真村氏は再び地位保全裁判を提起せざるを得なかった。第1次真村裁判の終了から、たった7か月のブランクを経て、再び地位保全裁判の法廷に立つことになったのである。

江上武幸弁護士ら真村氏サイドは、仮処分の申し立てと、本訴を平行する戦術を取った。仮処分を申し立てたのは、早急に販売店の業務を再開して生活の基盤を確保する必要があったからだ。

第2次裁判が検証対象とした期間は短かった。2007年12までの真村氏の行動に関しては、店主を解任される正当な理由は存在しないという司法認定を受けたわけだから、それ以後の時期、つまり2008年1月から、解任される7月末までの7か月のあいだに、真村氏を解任するだけの真っ当な理由が存在するかどうかが、検証点になる。

当然、江上武幸弁護士らは、第2次裁判での真村氏の敗訴はあり得ないと見ていた。わたしは当時、少なくとも10人ぐらいの知り合いの弁護士に、見解を問うてみたが、口をそろえて真村氏の敗訴はあり得ないと返答した。

実際、仮処分の申し立てでは、真村氏が勝訴した。1審から、4審にあたる最高裁への特別抗告まで真村氏の勝訴だった。喜田村洋一・自由人権協会代表理事ら読売側は、真村氏の「首切り」を執拗に主張したが認められなかった。

◇読売、司法命令に従わず

仮処分の第1審で勝訴した後、読売は仮処分命令に従い、真村氏を店主として復帰させるものと思われた。が、驚くべきことに喜田村弁護士らは、仮処分命令に従わなかったのだ。

これに対して江上弁護士らは、間接強制金を請求した。裁判所もこれを認め、読売は1日に3万円の「制裁金」を真村氏に支払うことになったのである。読売は2審、3審、4審と敗訴したので、「制裁金」の累積は、約2年半で約3600万円にもなった。

ちなみに間接強制金は、本訴で敗訴した場合、支払い元へ返済しなければならない。ある意味では理不尽な制度である。

読売が仮処分命令に従っていれば、真村氏は事業を再開でき、自分で生活の糧をえることが出来た。しかし、読売が命令に従わなかったから、真村氏は業務を再開できず、やむなく「制裁金」を受け取り、生活費や販売店の店舗のメンテナンスにあてていたのである。

本訴の最初の判決(福岡地裁)は、2011年3月15日に下された。審理は2年8か月に及んでいた。予想に反して真村氏の敗訴だった。裁判には圧倒的に強い読売が勝訴したのである。

この時点で、真村氏に3600万円の「制裁金」を読売に返済する義務がのしかかってきた。実際、後日、喜田村弁護士らは、真村氏の資産を仮に差し押さえる措置に出てくる。

■喜田村弁護士らが作成した不動産仮差押命令申立書

本訴では控訴審も上告審も、真村氏の敗訴だった。裁判所は、第1次裁判終了から後の7か月のあいだに、真村氏を解任に値する理由があったと判断したのである。

その理由は暗い好奇心をかきたてる。詳しくは、日を改めて報告するが、代表的な理由をひとつあげよう。

真村氏がわたし(黒薮)の取材に協力したことである。喜田村弁護士らが作成した準備書面には、黒薮批判も登場する。言論・表現の自由にかかわる問題である。喜田村氏らの書面は、記録として永久保存しているので、機会があれば公開しよう。【続】