残紙の回収量が約6・5トン、折込広告の回収量が1・2トン、廃業した読売新聞販売店の伝票を入手
茨城県古河市にあった読売新聞販売店の元店長から、「押し紙」(広義の残紙)と折込広告の回収状況を示す伝票を入手した。それによるとたとえば、「平成24年(2012年)8月26日」付けの伝票には次の数値が記されている。
残紙の回収量:6480kg
色上(折込広告):1210Kg
残紙の回収量が約6・5トンで、過剰になった折込広告の回収量が1・2トンである。
この店は新聞の卸代金が支払えなくなり2020年に廃業した。
折込広告の回収数量が明らかになったのは、筆者が知る限りでは今回が初めてである。折込広告が廃棄されていた事実が伝票で確認できたことにより、広義の「押し紙」は、新聞業界の外部へも被害を及ぼしていることが明らかになった。今後、ジャーナリズムは折込広告の廃棄問題をクローズアップする必要がある。
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回収されていた残紙の中身がどのような性質のものであったのかは、今後、検証する必要があるが、大量の新聞が余っていた事実は、伝票で確認できた。さらに請求書と発証部数を示す資料もあるので、別の角度からも検証できる。(詳細については後日)
現在、読売新聞は少なくとも3件の「押し紙」裁判に対峙している。東京高裁、大阪地裁、福岡地裁である。このうち大阪地裁と福岡地裁の裁判では、読売の代理人弁護士として、自由人権協会代表理事の喜田村洋一弁護士が働いている。
喜田村弁護士は、昔から一貫して読売に「押し紙」は1部も存在しないと主張してきた。残紙=「積み紙」という考えである。
しかし、「実配部数+予備紙」(販売店に真に必要な部数)を超えた部数は、理由のいかんを問わず「押し紙」であるとする解釈もある。そして古河市の販売店で大量の残紙が回収されていた事実は、残紙に予備紙としての実態がなかったことを示している。