1. 【取材メモ】新聞用紙の統制から「押し紙」放置の政策へ、メディアコントロールの手口

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2022年09月23日 (金曜日)

【取材メモ】新聞用紙の統制から「押し紙」放置の政策へ、メディアコントロールの手口

かつてメディアコントロールのアキレス腱となっていたのは、新聞用紙の配給制度だった。現在は、これと類似した構図が、「押し紙」を介して成立している。

公正取引委員会や裁判所などの公権力機関は、「押し紙」を放置することで、新聞社に莫大な利益をもたらす。一方、新聞社は、公権力の「広報紙」になることで、「押し紙」という経営上の大汚点にメスを入れられる事態を回避してきた。

次の記述は、新聞用紙の統制とメディアコントロールの関係を記述したものである。

「当時の(新聞社の統合、構造改革の)切り札になったのは、新聞用紙の不足であった。原料を輸入に頼っていた新聞用紙の不足が顕著化するのは、1938(昭和13年)年頃からである。当初は製紙業界と新聞業界との話し合いで節約しようとしたが、調整がつかず、1938年8月、政府が強制的に新聞用紙の節約を命じた。このため各新聞社は減ページを余儀なくされたし、用紙の確保が各社の死活を制することとなったのである。これは、弱小新聞の廃刊、合併に大きな圧力となった。それだけでなく、各新聞社側に政府の政策に先取り的に迎合し、少しでも有利な立場を確保しようとする行動を引き起こすことになったのである。」(『メディア史を学ぶ人のために』、有山輝雄著)

現在は、公権力機関が「押し紙」を放置することで、メディアを暗黙のうちにコントロールしている。新聞社に自己規制を促していると推測される。この構図を曝露しなくては、「押し紙」問題には、永遠にメスが入らない。