1. 2022年7月度のABC部数、朝日新聞、年内に400万部の大台を割り込む可能性、 「押し紙」を黙認する公権力と新聞人の関係

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2022年09月13日 (火曜日)

2022年7月度のABC部数、朝日新聞、年内に400万部の大台を割り込む可能性、 「押し紙」を黙認する公権力と新聞人の関係

2022年7月度のABC部数が明らかになった。それによると朝日新聞は、前年同月比で約54万部の減部数となった。これは月間に換算すると約4万5000部。今年の12月まで5カ月あり、予想される減部数は22万5000部になる。従って400万部の大台を割り込む公算がかなり高くなっている。

読売も、年間で約36万部減らしている。産経新聞は、約18万部。産経はもともと部数が少ない新聞なので、18万部の減部数による経済的な影響は大きい。

朝日新聞:4,121,240(-541,662)
毎日新聞:1,885,163(-122,338)
読売新聞:6,760,411(-326,266)
日経新聞:1,703,815(-150,542)
産経新聞:1,013,683(-177,289)

なお、ABC部数は新聞社が販売店に搬入した部数であって、販売店が実際に読者に配達した部数ではない。従って「押し紙」が含まれている。

日本の新聞研究者の大半は、「押し紙」が1部たりとも存在しないという偽りのリアリティを前提に、新聞部数と新聞社経営の関係を論じてきたが、このような論考は、客観的な事実を前提とする論考の基本を踏み外しており、研究の方法論そのものが間違っている。入口の部分で誤りを犯している。

また戦後、間もない時期に、朝日の緒方竹虎(ポカポン)や読売の正力松太郎(ポダム、冒頭写真)がCIAとコンタクトを取っていた事実も、米国の公文書で明らかになっている。新聞が親米感情と反共感情を育てるための「広報紙」の役割を果たしていたのである。現在も同じ構図の下にあるとは限らないが、裁判所や公正取引委員会が「押し紙」問題を半世紀にわたって黙認してきた背景に、新聞業界が経営上の利益供与と引き換えに、権力構造に組み込まれている可能性がある。この点の徹底検証を避けると、新聞論は成立しない。

今後、わたしは「押し紙」裁判などを見極めながら、メディア黒書でこの問題を検証する。