新聞「ABC部数」はこうして改ざんされる――実行者が手口を証言、本社販売局の指示でデュプロ(株)が偽の領収書を発行、入金一覧表なども偽造し数字を整合させる
新聞の発行部数を公式に示す「ABC部数」。ABC協会は2年に1度、「公査」を実施し、販売店の現場を調査している。ところがこの公査の直前に、新聞の購読者数を証拠づけるデジタル書類を改ざんしていることが分かった。
この問題を告発したのは、毎日新聞の元販売店主・板見英樹氏。板見氏は、現役販売店主だった2016年9月、改ざんの「実行者」である折込チラシ丁合機メーカー・デュプロ(株)社員から一部始終を聞き出した。
その録音によると、手口は、新聞拡販の対象者として販売店が保存している「過去の新聞購読者データ」を、現在の読者に改ざんして領収書を発行、そのバーコードを読み込み、入金一覧表なども自動的に改ざんすることで全体を整合させる、というもの。
改ざん現場には、毎日新聞の販売局員が立ち会い、指示を出していたという。(※文尾で、全音声9分21秒を公開)
【Digest】
◇ニセの領収書を大量裁断
◇デュプロの社員を呼び出す
◇「過去読を起こす」手口
◇改ざん作業の日は有給の形式
◇改ざんデータは「事前に用意しておくものでもない」
◇販売局社員が立ち合いの下で作業
◇新聞業界とデュプロの深い関係
◇デュプロは「回答しない」
◇取材は封書以外で受け付けない毎日社長室
◇毎日新聞社長室の回答
◇ABC協会の見解
◇新聞ジャーナリズムの限界
改ざんの噂は関係者の間では周知となっていたが、その手口の全容を、改ざん実行者自身が詳しく語ったものが録音されたのは初めて。それは、販売店のコンピュータに保存してある過去の新聞購読者のデータを、現在の購読者であるかのように改ざんして、購読者数を嵩あげするというもので、予想外に単純な手口だった。
新聞業界では、印刷だけされて配達されないまま廃棄される「押し紙」は存在しない、という偽りの前提で事業が展開されているため、「ABC公査」の際には、帳簿上の購読者数を改ざんして増やすことで「押し紙」の存在を隠蔽する必要に迫られる。その偽りの構図が、改めて浮彫りとなった。以下、不正手口の全容をリポートする。【続きはMyNewsJapan】