新聞社の担当員との会話を録音し始めた新聞販売店主ら、「押し紙」を断った決定的証拠が続々と
新聞販売店の経営が急激に悪化している。知り合いの販売店主に話を伺ったところ、搬入部数の3割から4割が「押し紙」になっている販売店はざらにあるとのことだった。新聞社によっては、6割、7割のケースもある。
「紙(押し紙)を切ってくれと、新聞社に要求しても、改廃されることはなくなりました。改廃すると後継者がいなくなり、自社で販売店を管理せざるを得なくなるからです。実際、そのような店が増えています。ですから紙を切るように交渉する販売店主が増えています。それ以外に経営を維持できなくなっているのです」
こうした状況の下で、新聞社の担当員と打ち合せをする場合、会話を秘密裡に録音する店主が増えているという。これについては、わたしも最近、大量の「会話録」を見せて貰ったことがある。
この「会話録」を作った店主は、開業して早々に「押し紙」が増え始めたので、念のために、録音機をオンにした上で、「紙」を減らすように、交渉するようになった。店主は繰り返し、搬入部数を減らすように念を押し、担当員は頑として、それを拒否する。その会話が録音されているのだ。しかも、「あなたの店の紙を減らすと、近隣の販売店の紙が増えることになり、○○さんらに迷惑がかかります」といった暴言まで吐いている。
また、担当員は「バーター」についても言及するようになったという。「バーター」とは、他社との「押し紙」に関する取引である。
たとえばある販売店に、A紙の「押し紙」が400部、B紙の「押し紙」が500部、C紙の「押し紙」が600部あるとする。そこでA紙、B紙、C紙の3人の担当員が集まって、話し合いで減部数を決めることである。
こうしたことが当たり前に行われているという。
日本新聞協会は、これまで「押し紙」は一部も存在しないと公言してきた。しかし、過去はともかく、現在は新聞社の「押し紙」政策を裏付ける証拠がどんどん表に出ている。
前出の「会話録」を作成した店主が話す。
「トラブルが発生してから録音したのでは遅いです。現在の状況からすると、いずれ残紙をめぐる係争になるわけですから、販売店は係争になる前から、担当員とのやりとりを録音しておくべきでしょう」
新聞社は「押し紙」の存在を否定できなくなってきた。公取委のメスが入るのも時間の問題である。その時、「『押し紙』は1部もないという、過去の大嘘が暴露されるだろう。