1. 新聞に対する軽減税率の適用は論外 広告代理店が秘密裏に新聞チラシを捨てている重い事実 背景に「押し紙」(新聞の偽装部数)

折込チラシの水増し問題に関連する記事

2014年01月24日 (金曜日)

新聞に対する軽減税率の適用は論外 広告代理店が秘密裏に新聞チラシを捨てている重い事実 背景に「押し紙」(新聞の偽装部数)

今年の4月から段階的に消費税が増税されるのに伴って、新聞に対する軽減税率の問題が話題になっている。ジャーナリズムの役割のひとつは、人々が国策の是非などを判断する際に必要な情報を提供することである。

こうした観点から軽減税率の問題を考えるとき、新聞関係者がジャーナリズムの役割を果たしているのか疑問がある。自分たちに有利な情報だけを流して、不利な情報はシャッタアウトしているのが実態だ。後述するように、新聞業界には、驚くべき負の情報があるのだが。

日本新聞協会のHPは、「聞いてください!新聞への消費税軽減税率適用のこと」と題するコーナーを設けて、露骨に新聞をPRしている。

データ=ここをクリック  

次のような調子だ。

■民主主義を支える基盤

 民主主義の主役は国民です。国民が国の針路について的確な判断を下すには、正確で信頼できるニュースや知識を、誰もがいつでも手軽に入手できる環境が何よりも大切です。

■地域に届ける毛細血管

 新聞販売所は毎日決まった時間に、全国各地の家庭や会社に新聞を配達しています。販売所が届けているのは、それだけではありません。一人暮らしのお年寄りを見守ったり、防犯ネットワークに協力したりするなど、地域に安心や安全を届けています。

ちなみに太字で示した「防犯ネットワーク」とは、新聞販売店の店員が警察に協力して「準警察」の役割を担い、新聞配達の途中や集金先の民家で、「過激派」まがいの人物を発見した場合などに、警察へ通報するシステムである。もっとも有名なのは、全国読売防犯協力会である。解釈の仕方では、住民監視システムともいえる。

さて、新聞に対する軽減税率の適用を検討する際の情報として、完全に遮断されている情報には、どのようなものがあるのだろうか。新聞販売網を利用した住民監視システムだけではない。また、MEDIA KOKUSYOで繰り返し告発してきた「押し紙」(新聞の偽造部数)だけでもない。

新聞に折り込むチラシを、チラシのスポンサーが知らないところで、多量に破棄している重い事実である。俗に「折り込みサギ」とか「折り込めサギ」と呼ばれる行為である。

◇「折り込めサギ」の現場をビデオ撮影

「折り込めサギ」とはどのような手口なのだろうか?  新聞販売店に搬入されるチラシの枚数は、新聞の搬入部数に比例する。たとえば新聞2000部が搬入される場合は、チラシの枚数もそれに準じて2000枚に設定する原則がある。

ところが周知のように、搬入される新聞の中には、「押し紙」(偽装部数)が含まれている。2000部が搬入されても、実際に配達されるのは、たとえば1500部といった実態が日常化している。このケースでは500部が過剰になる。

なぜ、余分な部数までを搬入するのか?それはまず第1に、新聞社が販売収入を増やすためである。「押し紙」についても代金は徴収されるので、「押し紙」を増やせば、販売収入も増える。

第2に不正な手段を使ってでも、搬入部数を増やすことで、ABC部数の統計数字をアップして、紙面広告の媒体価値を上げることができるからだ。ABC部数が増えれば増えるほど、紙面広告の価格が上がる原則がある。特にこの傾向は、政府の公共広告などでみられる。

このような不正のカラクリに連動しているのが「折り込めサギ」、つまりチラシの水増しである。次に示す動画は、余ったチラシを梱包したダンボール箱を販売店から搬出して、トラックに積み込み、「チラシの墓場」へ運ぶ場面である。

 動画・山陽新聞「折込サギ」の実態=ここをクリック

◇新しいサギの手口

「折り込めサギ」が水面下で社会問題になるにつれて、それを隠すために別の新たな手口が登場した。それが「中抜き」である。

これはチラシを販売店に届ける前の物流過程で、チラシを捨ててしまう行為である。広告代理店は、

「どうせ販売店でチラシが破棄されるのであれば、その前の段階で捨てたほうが、サギが発覚するリスクが減る」

という計算でこのような行為に及ぶのだ。

さらにこれが高じると、販売店で捨てる枚数を印刷しないことで、経費を浮かせる手口にまで不正は及ぶ。

次に示すPDFは、アルファトレンドという広告代理店が「中抜きサギ」で広告主から提訴され、裁判の中で明らかになった「中抜き」の実態を示したものである。アルファトレンドは、和解交渉により、「中抜き」していたチラシ代金を全額返済した。

PDFデータ=ここをクリック

被害にあったのはバースデーという大阪の会社。約1年のあいだに約250万枚を発注したが、このうち65万枚が中抜きされていた。さらに少なくとも42万枚は印刷すらされていなかった。被害額は約250万円になった。

■参考記事:新聞も「偽装」発覚で刑事告訴 “折り込め詐欺”でチラシ65万枚を中抜き、250万円の被害