1. チラシを140枚発注したのに、販売店にはたった98万枚、折込チラシの「中抜き」問題で被害情報収集の窓口がオープン

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2013年07月24日 (水曜日)

チラシを140枚発注したのに、販売店にはたった98万枚、折込チラシの「中抜き」問題で被害情報収集の窓口がオープン

メディア黒書に匿名でブログが送られてきた。情報提供を呼びかける内容である。内容を確認したところ、事実関係に誤りはないので、読者に紹介することにした。

http://alpha-trend.info/

ブログの中で批判の対象になっているのは、アルファトレンドという広告代理店である。

この会社は読売広告社の元社員が設立した会社で、事業内容のひとつに新聞に折り込むチラシの営業がある。しかし、新聞販売店へのチラシの運搬・搬入作業は、他の広告代理店にゆだねているようだ。

匿名ブログの「被害者1」と「被害者2」で紹介されている被害のケースでは、次のようなルートで、発注・受注したチラシを新聞販売店に搬入している。その過程で「不正行為」が行われていたのだ。

1、アルファトレンド(チラシの受注)

?2、マーケティング読宣(チラシの印刷等)

?3、読宣(販売店へのチラシの搬入)

「1」から「3」で示すように、チラシの発注・受注から、販売店へ搬入するまでに3つの広告代理店が業務を担当した。これらのプロセスで何が行われたのだろうか?

【黒薮注】ただし、このケースで裁判所は、マーケティング読宣と読宣は潔白であると判断している。最下流のアルファトレンドの責任が問われたのである。

◆受注枚数が販売店に届いていなかった

正常な取引では、たとえば10万枚のチラシを発注・受注すれば、10万枚のチラシが販売店に搬入されるはずだ。そして、その大半が新聞に折り込まれて、読者のもとに届く。

ところがアルファトレンドなど3社がかかわった取引では、次のようになっていた。「被害者1」と「被害者2」のケースから一部を紹介しよう。

※「被害者1」:広告主は35万枚のチラシを発注したが、販売店には30万枚しか届いていなかった。差異の5万枚は、印刷すらされていなかった。

※「被害者2」:広告主は140万枚のチラシを発注したが、販売店には98万枚しか届いていなかった。差異の42万枚は、印刷すらされていなかった。

2件の被害ケースで見られるように、発注・受注したチラシを、物流のプロセスで抜き取る行為を、俗にチラシの「中抜き」という。

ちらみにこれら2件のケースは、大阪地裁で裁判になった。いずれのケースも広告主が和解勝訴するかたちで解決したが、事件を知った全国の広告主の関心はむしろ高まっているようだ。メディア黒書へも、電話で情報がたくさん寄せられている。

その中には、広告代理店の元事務員からの内部告発もあった。

こうした状況の下で、だれかが匿名ブログを作成して、情報収集に乗り出した可能性が高い。

もちろんメディア黒書への告発には全面協力する。情報提供は大歓迎です。連絡先は、(TEL048?464?1413。xxmwg240@ybb.ne.jp

◆問題の根底に「押し紙」問題の放置

わたしは1997年から、本格的に新聞販売問題の取材を始めたが、最初のテーマは、新聞社が公称部数を偽装している問題だった。いわゆる「押し紙」問題である。

たとえば1500人しか新聞購読者がいない販売店に、2000部の新聞を搬入して、卸代金を徴収すれば、差異の500部が「押し紙」(偽装部数)である。ところが問題はこれだけではない。

折込チラシの搬入枚数は、原則として新聞の搬入部数に一致させるルールがあるので、上記の例でいえば、500部の「押し紙」発生は、500枚のチラシが過剰になることを意味する。広告主は、この500枚についても、料金を払っているので、納得しない。

が、幸か不幸か、このような悪慣行は水面下で隠されてきた。ところが今世紀に入るころから、隠しきれなくなってきたのだ。破棄するチラシの量があまりにも多量になったからだ。

次の動画は、山陽新聞の販売店から、余ったチラシを詰め込んだ段ボールをトラックで搬出する場面である。

(参考1:山陽新聞・折込詐欺の実態)

(参考2:ユニクロの折込チラシ大量廃棄)
 これは完全な刑事事件ではないだろうか?

◆「中抜き」の手口が登場

そこで登場した新たな手口が、チラシの「中抜き」である。「中抜き」をすれば、水増しされたチラシの存在を広告主に知られることはない。それに「中抜き」分の枚数を印刷しなければ、広告代理店は印刷経費を浮かせることもできる。

かくて「中抜き」の手口は、現在、水面下で爆発的に広がっている可能性がある。匿名ブログは、こうした状況の下で、同じ被害に怒る広告主の手で作成されたものと推察できる。

改めていうまでもなく、広告代理店の多くは新聞社の別会社である。と、なれば新聞社も他人事として、この問題を無視するわけにもいかないのではないか。