2016年06月24日 (金曜日)
一市民を提訴した森裕子参院議員候補が過去に還付金の不正受領、政治資金収支報告書で判明
参議院新潟選挙区から野党統一候補として立候補している森裕子氏の政治資金収支報告書を精査したところ、森氏がマネーロンダリングを続けてきた疑惑があることが分かった。
有権者が政党支部に寄付を行った場合、税制上の優遇措置を受けることができる。税制上の優遇措置とは、還付金(寄付金の30%をバックしてもらうこと)を受けることである。
たとえば有権者のAさんが1000万円を、特定の政党支部に寄付したと仮定する。この場合、税還付の手続きを経ると、1000万円の30%にあたる300万円をバックしてもらえる。
※このような仕組みを租税優遇措置という。租税特別措置法41条の18。
ところがこの特別措置には、例外がある。寄付行為によって、寄付した者に「特別の利益が及ぶ」と認められる者は、還付金を受けることができない。
つまり政治家がみずからの支部に自分で寄付金を振り込んだ場合、「寄付者」であり、同時に政党支部の支部長である自分自身に、「特別の利益が及ぶ」ので、還付金を受ける資格を失う。
これが租税優遇措置が例外的に適応されないケースである。対象となるのは、おもに政治家だ。
かりに例外が適応されなければ、次のような不合理が生じる。たとえば政治家Aが自分の政党支部に対して、みずから1000万円を寄付したと仮定する。この場合、例外が適応されなければ、政治家Aは1000万円の手持ち資金を「投資」して、還付金300万円を得られる。手持ち資金は1300万円となる。これではマネーロンダリングになるから、租税優遇措置の例外があるのだ。
◇「今後は議員が直接、資金管理団体に寄付する」
読売新聞(2013年4月23日付け、電子)の報道によると森裕子氏は、2009年から2011年の3年間で総計2190万円を自分の政党支部(民主党新潟県参議院選挙区第1総支部)に寄付して還付金を受けた。
2190万円の30%は657万円。この金額が森氏に還付されたことになる。参考までに読売の記事を引用しておこう。
政治家が政党支部と資金管理団体を使い寄付金を還流させ、所得税の還付を受ける「迂回うかい寄付」問題で、生活の党代表代行の森裕子参院議員(57)(新潟選挙区)が、2009~11年に代表を務めていた「民主党新潟県参議院選挙区第1総支部」に計2190万円を寄付し、所得税還付を受けていたことがわかった。
政治資金収支報告書によると、同支部は09~10年、森氏の資金管理団体に計210万円を寄付していた。森氏の事務所は意図的な行為ではないとし、「今後は議員が直接、資金管理団体に寄付する」としている。
◇2013年度もみずから600万円を寄付
森事務所は読売に対して、「今後は議員が直接、資金管理団体に寄付する」とコメントしているので、念のために、その後の森氏の政治資金収支報告書を調べてみた。結果は、次のPDFの通りである。
森氏は、生活の党新潟県参議院選挙区第一総支部へ600万円寄付している。
森氏が還付金を受ける手続きをしたという確証はないが、少なくとも森事務所が読売に対して出したコメント、「今後は議員が直接、資金管理団体に寄付する」という約束は守っていない。政治資金を透明にする努力はしていない。
従来と同じようにみずからの政党支部に、自分で寄付金を振り込んでいたのである。
ちなみに森氏は、2013年に一市民に対する高額訴訟を提起して敗訴している。言論封じ目的の裁判との評価もあり、政治家としての資質が問題になっていた。