2015年09月10日 (木曜日)
歌手で作家の八木啓代氏が志岐武彦氏に訴えられた裁判と、黒薮が八木氏に訴えられた裁判の関係はどうなっているのか?
【サマリー】志岐武彦氏が、歌手で作家の八木啓代氏に対して、東京地裁で起こした名誉毀損裁判(請求は200万円)が、9日、結審した。判決は、11月25日に言い渡される。実はこの裁判には、関連する4件の裁判がある。元国会議員・森裕子氏が起こした裁判を起点として、複数の裁判が起こされ、このうちに2件がいまも進行している。
このうちの1件にわたしも被告として巻き込まれている。その中には、言論表現の自由にかかわる重大なテーマ--記事を執筆した際に、特定の取材内容を入れなかったことが名誉毀損にあたるかどうか?--も含まれている。4つ裁判の関係がどうなっているのかを解説した。
『最高裁の黒い闇』(鹿砦社)や『最高裁の罠』(K&Kプレス)などの著書がある志岐武彦氏が、歌手で作家の八木啓代氏に対して、東京地裁で起こした名誉毀損裁判(請求は200万円)が、9日、結審した。判決は、11月25日に言い渡される。
訴因は、八木氏が発信した次のようなツィッターである。たとえば、
『とにかく明らかなのは、志岐さんには、誰もかけていない電話が聞こえ、会ってもいないのに会った記憶が作られ、そこでは、志岐さんに都合の良い事実が暴露されるらしいことである。早急に病院に行かれた方がよろしいかと思う』
『ちなみに、どうせまともな人は信じないので改めて書く必要もないと思いますが、志岐氏が昨日付のブログに書いていることは、すべて妄想です。かなり症状が進んでいるなと思います。早い内に病院か教会に行かれる方がよいと思います。』
もちろん八木氏は、ツィートの内容は名誉毀損にはあたらないと主張した。
なお、八木氏に対してわたしは、2015年7月30日、わたしに関す事実に反したツィッター攻撃に対して謝罪を求める催告書を送付した際に、「反論などありましたら、ウエブサイトで紹介します。また、裁判の書面についても、貴殿が希望されるものがあれば、掲載しますのでお知らせください。」と通知している。従って八木氏から、反論を希望する旨の申し出があれば、本サイトで掲載する。
◇森裕子裁判
さて、「志岐VS八木」裁判の背景に言及しておこう。
発端は元参院議員の森裕子氏が志岐氏に対して、言論活動の一部禁止と金500万円を請求する裁判を起こしたことである。原因は小沢一郎検審にからむ疑惑の解釈をめぐる対立である。小沢氏を起訴に持ち込んだ舞台裏に、検察の策略があったとする森氏。これに対して、舞台裏の仕掛け人は最高裁であると考える志岐氏。
2人の対立は、エスカレートして元国会議員が一市民を提訴する事態になったのである。こうした一連の流れの中で、森氏に近い八木氏が、ツィッターで志岐氏に対する批判を繰り返したのだ。
周知のようにこの裁判は志岐氏が勝訴した。
◇陳述書の執筆を断って・・・
ところがその後、Aさんという市民が八木氏に対して名誉毀損裁判を提起する。「志岐VS森」裁判の中でAさんは、森裕子氏から陳述書の執筆を依頼されたのだが、それを断った。これに対して八木氏がAさんをネット上で批判した。その言動が名誉毀損にあたるとして、Aさんが八木氏を提訴したのだ。
この裁判は最高裁でAさんの勝訴が確定している。20万円の支払いが命じられた。
一方、志岐氏は、自分が被告にされた裁判の「戦後処理」の意味もあったのか、あるいは森サイドへの「反訴」の意味あいだったのか、八木氏に対して、金200万円の支払いを求める名誉毀損裁判を起こした。訴因は、八木氏による大量のツィートである。
◇言論表現の自由にかかわる問題提起
これに対して八木氏も沈黙しなかった。志岐氏に対して、金200万円の支払いを求める裁判を起こした。デマを拡散されたということなどが訴因である。
ところがどういうわけなのか、被告にわたしの名前も入っていたのだ。訴因のひとつは、わたしが八木氏を取材(2014年12月)した際に、八木氏の話した内容を記事の中で反映させなかったから、名誉毀損にあたるというものである。八木氏が訴因としたのは「さくらフィナンシャル・ニュース」にわたしが書いた次の記事である。
■【特報】「志岐武彦VS八木啓代」の名誉毀損裁判、背景に疑惑の小沢一郎検審をめぐる見解の違い
これまで聞いたことのない八木氏の論理だが、言論表現の自由にかかわるテーマである。ライターや編集者にとって、見過ごせない問題である。
それゆえに八木氏が本人訴訟であるにもかかわらず、わたしは弁護士を依頼した。専門家はどう考えるのか?
この裁判の詳細については、結審後に報告する。
こんなふうに元国会議員・森裕子氏が起こした裁判を起点として、4件の裁判が起こされ、このうちに2件が進行している。