1. 「志岐武彦VS八木啓代」裁判、争点外のもうひとつの着目点「ツイッター表現に見る精神障害に対する偏見の有無」

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2015年04月16日 (木曜日)

「志岐武彦VS八木啓代」裁判、争点外のもうひとつの着目点「ツイッター表現に見る精神障害に対する偏見の有無」

旭化成の元役員で『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者・志岐武彦氏が、多量のツイッター発信により名誉を毀損されたとして、歌手で作家の八木啓代氏に対して200万円の損害賠償を求めた事件の口頭弁論が、4月15日、東京地裁で開かれた。

裁判長の交代が公式に告げられたあと、提出書面の確認、次回までに準備する書面の確認が行われた。次回の期日5月27日に本人尋問の日程が決定される見込み。

この裁判は、本人訴訟なので、裁判長から志岐氏と八木氏に対する尋問が行われる予定。また、反対尋問では、被告と原告が「直接対決」することになる。

◇「統失じゃあないですか!」

この裁判の注目点は、ツイッターによる言論を裁判所がどう判断するのかという点である。志岐氏が名誉を毀損されたとしているツイッターは、200件にもなる。その一部を紹介しよう。

『とにかく明らかなのは、志岐さんには、誰もかけていない電話が聞こえ、会ってもいないのに会った記憶が作られ、そこでは、志岐さんに都合の良い事実が暴露されるらしいことである。早急に病院に行かれた方がよろしいかと思う』

『ちなみに、どうせまともな人は信じないので改めて書く必要もないと思いますが、志岐氏が昨日付のブログに書いていることは、すべて妄想です。かなり症状が進んでいるなと思います。早い内に病院か教会に行かれる方がよいと思います。』

『とりあえず志岐氏に関しては、かけてもいない電話を受けたとか、存在しないメールを受け取ったとか、会ってもいないのに話を聞いたとか、そういう「症状」でいらっしゃるとしか申し上げようがありません。個人的には、すみやかに病院に行かれることをおすすめしたいです。』

『Masato Shiotsu - co2@co2masato統失じゃあないですか!RT @nobuyoyagi: とりあえず志岐氏に関しては、かけてもいない電話を受けたとか、存在しないメールを受け取ったとか、会ってもいないのに話を聞いたとか、そういう「症状」でいらっしゃるとしか申し上げようがありません。』

【注】:「統失」は、統合失調症の意味。

『病的な虚言癖」でなければそういうことになりますね RT @co2masato 統失じゃあないですか!RT @nobuyoyagi: とりあえず志岐氏に関しては、かけてもいない電話を受けたとか、存在しないメールを受け取ったとか、会ってもいないのに話を聞いたとか、そういう「症状」』

『山崎氏のブログ記事からだとそういう可能性もありますね。… いずれにしても医師の診断を受けるべきかと RT @co2masato 人格障害の可能性もありますね。』

◇精神障害者に対する差別

裁判の争点にはならないが、一連のツイッターの内容が精神障害者に対する重大な差別にあたる可能性もある。たとえば、ツイッターの中で平然と行われた次のやりとりである。

「統失じゃあないですか!」

「とりあえず志岐氏に関しては、かけてもいない電話を受けたとか、存在しないメールを受け取ったとか、会ってもいないのに話を聞いたとか、そういう「症状」でいらっしゃるとしか申し上げようがありません。」

全国精神障害者家族連絡会が編集した『みんなで歩けば道になる--全家連30年のあゆみ』の冒頭で、山下利政理事長(当時)は、次のように精神障害者が置かれている実態を指摘している。

「かつて精神障害者は座敷牢に閉じこめられ、人間扱いされない時代があった。それは人間の尊厳に対する著しい冒とくであった。精神障害者というだけで、本人とその家族は偏見の目で見られ、社会的にも制度的にも差別を受け続けてきた。多くの病者、家族が苦渋の中に生き、ある者は苦しみに耐えかねて自らの命を絶った。」

ちなみに統合失調症とは、かつての精神分裂病である。この病気は高齢者を除くだれにでも発症のリスクがある。発症年齢が若ければ、症状が重い傾向にある。

脳の神経伝達物質の分泌が活発になりすぎて、思考が混乱する病気だ。本人も症状には気づいているが、自分が置かれているのが現実の世界なのか、それとも空想の世界なのかの区別が付かなくなり、空想の世界を前提とした会話が口をついて出ることがある。第3者には、それが妄想に聞こえる。しかし、一番苦しいのは、患者本人である。

今後、八木氏のツイッターを精神障害者がどのように受け止めるのかという点も取材する