1. 誰が小沢一郎検審の捏造報告書を流出させたのか?「森VS志岐」裁判の未解明部分

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2015年04月09日 (木曜日)

誰が小沢一郎検審の捏造報告書を流出させたのか?「森VS志岐」裁判の未解明部分

森裕子・元参院議員が、旭化成の元役員で『最高裁の罠』(K&Kプレス)の著者・志岐武彦氏に500万円の損害賠償と言論活動の一部制限を求めて起こした裁判が終わって半年が過ぎた。さくらフィナンシャル・ニュースでも既報したように、この裁判は志岐氏の勝訴で終わった。

しかし、裁判を通じて解明されなかった重大な疑問点が残されたままになっている。それはだれが検察の捏造報告書を外部へ流出させたのかという点である。捏造報告書を流出させた者は、本来であれば違法行為を犯したことになるが、首謀者がだれであるかすらも、現在の段階では判明していない。

複数の資料や証言は存在するが、裁判ではその検証は行われなかった。

窃盗により捏造報告書が外部へ流出した場合は例外として、流出ルートは基本的には2つしかない。

まず、第1の可能性は検察の内部にいる職員が、外部に持ち出した可能性である。当然、これは違法行為にあたる。検察は、職員による持ち出しを全面的に否定している。

◇刑事訴訟法の第281条の4

もうひとつのルートは、裁判の当事者である小沢氏側から外部へもれるケースである。もちろん、これも違法行為である。刑事訴訟法の第281条の4は、次のように書面の持ち出しを禁じている。

 第281条の4:被告人若しくは弁護人(第四百四十条に規定する弁護人を含む。)又はこれらであつた者は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を、次に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供してはならない。

一  当該被告事件の審理その他の当該被告事件に係る裁判のための審理

二  当該被告事件に関する次に掲げる手続
イ 第一編第十六章の規定による費用の補償の手続

ロ 第三百四十九条第一項の請求があつた場合の手続

ハ 第三百五十条の請求があつた場合の手続

ニ 上訴権回復の請求の手続

ホ 再審の請求の手続

ヘ 非常上告の手続

ト 第五百条第一項の申立ての手続

チ 第五百二条の申立ての手続

リ 刑事補償法 の規定による補償の請求の手続

「森VS志岐」裁判の中では、志岐氏側の代理人が、捏造報告書を流出させた者を特定するために、小沢一郎氏と弘中淳一郎弁護士の尋問を求める場面もあった。しかし、その前に結審して、判決が下された。

だれが捏造報告書を流出させたのかという点は、今後、ジャーナリズムが全容を解明しなければならない問題にほかならない。