1. 司法の信頼ゆらぐ検察審査会制度を利用した東京地裁の経理疑惑、森本総務課長の説明とは裏腹に、会計検査院の公文書には1355万9000円の残金の記録

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2014年11月10日 (月曜日)

司法の信頼ゆらぐ検察審査会制度を利用した東京地裁の経理疑惑、森本総務課長の説明とは裏腹に、会計検査院の公文書には1355万9000円の残金の記録

たとえば架空の会議を開いたことにして重要事項を決定する場合、会議に「参加」した「架空の参加者」に対する旅費や日当も支払ったことにして、帳簿に記入しなければ、会議開催の事実と経理の辻褄が合わなくなる。

結果、必然的に不正経理が発生する。が、裏金づくりの目的は、必ずしも金銭が第一目的とは限らない。アリバイづくりが主要目的になるケースもある。

小沢検審が架空だったのではないかとする疑惑の調査で、志岐武彦氏らが新たな事実を明らかにした。

志岐氏らが、東京地裁の森本総務課長に、小沢検審では、審査員に対する旅費支払いが大幅に遅れるケースが繰り返されていた理由--逆説的に考えると審査員が実在しないから、大幅な延滞が繰り返されても問題にならなかった可能性がある--を尋ねたところ、資金がショートしたと説明したことは、7日付けの「黒書」で報じたが、その後、市民オンブズマンの石川克子氏の調査により、十分な資金があった可能性が高いことが分かった。会計検査院の公文書でそれが判明した。

■会計検査院の公文書

この点を説明する前に、経理疑惑の経緯を再度確認しておこう。

◇志岐氏による取材経緯

MEDIA KOKUSYOでは、小沢検審が架空だった可能性を裏付ける客観的な資料を、志岐氏から入手して紹介してきたが、かりに小沢検審が架空だったとすれば、帳簿類も改ざんされていると考えるのが自然だ。

経理帳簿に関して、志岐氏の調査で次の事実が判明している。

審査員に支払う旅費の支払い手続きは、審査会が開かれた後、延滞することなく行われる。

ただし、2つだけ例外があった。それは小沢検審とH検審(匿名)だった。

このうち、小沢検審では、支払い手続きが大幅に遅れたり、複数回に及ぶ審査会に要した旅費を、後付でまとめて処理している。審査員が実際にいれば、通常はこのような処理はできない。次に示すのは、延滞状況をまとめたものである。

考:延滞状況のまとめ

「③」の理由を東京地裁の森本総務課長に質問したところ、次のように答えた。

「予算枠を超えたのでその資金手当てができず、支払手続を先送りした。3月19日に1人だけ支払ったのは立替え金額が大きいと判断したからである。」

つまり資金がショートしたという説明だった。