2018年06月14日 (木曜日)
新潟検察審査会が「不起訴処分相当」の議決、森裕子氏のマネーロンダリングで、「政治家として行うのは好ましくない」との意見も
新潟検察審査会が、志岐武彦氏と筆者が申し立てていた森裕子議員の被疑事件について、8日、「不起訴処分相当」の議決を下した。しかし、検察審査会の判断に注目すべき意見(後述)が付された。
この事件は、森裕子議員が自らの政党支部に自ら政治献金を行い、税務署で所定の手続を取って、還付金を受けていたものである。このような行為は、租税特別措置法や所得税法で禁止されている。還付金制度を悪用していたのだ。
筆者らは、異なった会計年度を対象に2度に渡り、森議員を新潟地検へ刑事告訴した。新潟地検は告発を受理したが、調査した後、不起訴にした。そこで筆者らが、新潟検察審査会に審査の申し立てを行ったのである。
【還付金制度】議員が代表を務める地元の政党支部などへ有権者が政治献金を行った場合、税務署で所定の手続きをすれば、寄付した金額の30%が戻ってくる。たとえば1000万円を寄付すれば、300万円が戻ってくる。
ただし、租税特別措置法の41条18・1は、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。この条項を無視して、議員が自らの政党支部に寄付すれば、マネーロンダリングになってしまう。1000万円を寄付すれば、資金が1300万円にふくれあがるからだ。
引用文にも明記されているように、還付金制度の例外事項として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められるものを除く」と定めている。従って、政治家が自分の政党支部などへ自分で寄付した場合は、還付金を受け取る手続きをしてはいけない。
◇検察審査会の意見
検察審査会は、不起訴処分相当の判断を下したが、次のような意見を付した。
ただ、本制度(政党に寄附をし、税還付を受ける)に関し、被疑者において、政治家として行うのは好ましくないと思えるのにもかかわらず続けていた点で、やはり政治家が税還付の手続を行うことは、国民の目から見てどうかと思われるところもあるので、その点で、今後の法律の改正を期待するものである。
◇筆者の見解
筆者は検察審査会が何を根拠として、違法性を否定したのかまったく理解できない。確かに還付金制度は存在し、それを利用して還付金を受け取ることが出来る。しかし、受け取りを禁止する例外事項が、租税特別措置法41条18の1で明記されているのである。それは、「寄附をした者に特別の利益が及ぶと認められる」場合である。森氏の場合がこれに該当するというのが筆者らの主張である。
たとえば政治家が自分の政党支部に自分で1000万円寄附して、所定の手続をすれば300万円が税金から還付されるわけだから、政党支部は1300万円の収入を得ることになる。つまり「寄附をした者に特別の利益」を得る構図になっているのだ。
筆者は、かつて租税特別措置法41条18の1が定めた例外事項の具体例を示すように新潟地検と奈良地検に求めたことがある。しかし、答えられないとのことだった。が、マネーロンダリングにより森氏が特別な利益を得た事実を直視するだけで、租税特別措置法41条18の1に抵触することが分かる。
下記の表を見て、マネーロンダリングを容認するようでは、見識が疑われるのである。