1. 経済誌『財界にいがた』が志岐武彦氏の手記を掲載、森裕子議員を不起訴しにした検察を批判、永田町に広がるマネーロンダリングとモラルの低下と

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2017年12月26日 (火曜日)

経済誌『財界にいがた』が志岐武彦氏の手記を掲載、森裕子議員を不起訴しにした検察を批判、永田町に広がるマネーロンダリングとモラルの低下と

検察を批判する手記を、経済誌『財界にいがた』が掲載している。タイトルは、「不正税還付の森裕子議員を不起訴にした新潟地検の良識を問う」。執筆者は、告発者の志岐武彦氏である。

繰り返し述べてきたように、志岐氏とわたしは、森裕子議員が不正な方法で税の還付を受けたとして、2件のケースを新潟地検へ告発した。これを受けて新潟地検は、2016年10月と2017年1月に、それぞれ2つのケースに対する筆者らの刑事告発を受理して捜査していた。しかし、12月8日に不起訴の決定を下したのだ。志岐氏の手記は、これを受けたものである。

この事件を理解するためには、あらかじめ「還付金制度」とは何かを説明しておかなければならない。これは有権者が議員の政党支部などに寄付をした場合、税務署で所定の手続をすれば、寄付額の30%を還付してもらえる制度である。政治資金の支出を促すために設けられた制度である。

森氏はこの制度を利用して、自分で自分の政党支部へ献金を行い、自ら還付を受けていたのだ。自分で自分の政党支部へ献金したわけだから、寄附金はもともと自分のもので、さらにこの「寄附金」に加えて、30%の還付金も自分の懐に入る。

たとえば1000万円を自分で政党支部に寄付すると仮定する。次に税務署で所定の手続きを踏む。すると1000万円の30%にあたる300万円が還付される。その結果、最初は1000万円だった資金が、1300万円に増えるのだ。実に単純で大胆なマネーロンダリングである。

還付金制度は租税特別措置法の41条18・1で定められている。しかし、例外として、「その寄付をした者に特別の利益が及ぶと認められたものを除く」と定めているのだ。つまり森氏は寄付により特別な利益を得ており、違法行為に該当するというのが、筆者らの主張だった。このトリックは、違法ではないとする文献が存在するらしいが、法の解釈は「特別な利益を得」た事実に即して決めるのが原則である。

『財界にいがた』が森議員の過去の政治資金収支報告書などを調べたところ、この方法で、約2700万円の還付金を受けていたらしいことが判明した。「らしい」と書いたのは、議員になった初期の段階については、還付金を受け取る手続を踏んだかどうか不明な箇所があり断言はできないからだ。しかし、所定の手続きを税務署で踏んでいれば、約2700万円もの「税金」を受け取ったことになる。わたしはその可能性が高いと見ている。

◇最高検察庁の闇

もともとこの事件を調べたのは志岐氏だった。わたしは志岐氏の調査を取材する立場だった。それだけに調査の過程も全て把握している。新潟地検が刑事告発を受理した後、志岐氏は繰り返し同地検の串田二三捜査官とコンタクトを取って、捜査状況を確認していた。串田捜査官も捜査情報を志岐氏に伝えていた。

串田捜査官は、森氏の銀行口座を調べることも志岐氏に伝えた。そして9月19日に、森氏を起訴するためには、「高等検察庁の許可が必要になる」とし、地検としては、起訴する意向を志岐氏へ伝えたのである。さらにその後、11月1日には、「東京の方(最高検察庁のこと)にも処分の許可をもらわなければならないので、お伺いを立てている」と説明したのである。そして既に述べたように、12月8日に不起訴が決まったのだ。

つまりこの事件の不起訴は、最高検察庁の意向が働いている可能性が極めて強いといえよう。地検が捜査しても、結局は、最高検察庁が起訴・不起訴を決める暗黙の制度が存在すると言っても過言ではない。これが中央集権型の権力構造の実態なのだ。

志岐氏の手記は、この事件の全容だけではなく、日本の司法がいかに客観的な事実に基づいて、起訴・不起訴を決めない体質であるかを物語っている。検察の役割をまったく果たしていない。その時々のフィーリングで事件を扱っているようだ。

国会議員によるマネーロンダリングが起訴の対象にならないわけだから、これからますます腐敗は広がるだろう。与党だけではない。野党も真っ黒になりかねない。永田町は、政治ビジネスの全盛期を迎えるだろう。

森議員は、還付金を自主的に返上すべきだろう。