1. 販売店が毎日新聞社に「王手」、「押し紙」裁判で録音が立証する「押し紙」7割の証拠

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2017年12月15日 (金曜日)

販売店が毎日新聞社に「王手」、「押し紙」裁判で録音が立証する「押し紙」7割の証拠

【上写真】「押し紙」問題。ビニール包装された束が「押し紙」。新聞で包装されている束の中味は、「押し紙」とセットになった折込広告。撮影場所:毎日新聞販売店。.本文とは関係ありません。

莫大な量の「押し紙」が毎日、全国の新聞販売店で発生していることは、いまや周知の事実になっているが、新聞社はこの問題についてどう考えているのだろうか。このほど毎日新聞社の言い分が明らかになった。結論を先にいえば、「押し紙」はしていないという見解である。

メディア黒書で既報したように、現在、毎日新聞社は千葉県内のある販売店から「押し紙」裁判を起こされ係争中だ。東京地裁で裁判記録を閲覧したところ、搬入される新聞の約7割が残紙になっていたことを裏付ける証拠も提出されていた。当然、「押し紙」で販売店が被った損害は、全額賠償されなければならない。

ところがそれを逃れるために、毎日新聞社は実に奇妙な主張を展開しているのだ。2016年10月18日付けの準備書面を引用しておこう。執筆者は、毎日新聞社の代理人・阿部博道弁護士である。

即述のとおり、販売店では販売担当社員の訪店時などに、当月の販売状況や翌月の販売見込み、奨励金・補助金、折り込み広告収入などを総合的に勘案し、販売担当社員と合意の上で取引内容を決めるのであって、販売店側の一方的な不利益の下でその了解のないまま反訴被告(販売店)が一方的に送り付けるものでないことは、再三述べたとおりであり、反訴原告の云ういわゆる「押し紙」はない。

つまり販売店と合意した上で、7割の過剰な新聞を搬入していたというのだ。販売店と話し合いによって、新聞の「注文部数」を決めたから、「押し売り」ではないという論法である。

◇新聞特殊指定を我田引水に解釈

実はこのような詭弁は、新聞業界全体の共通認識で、たとえば読売の代理人・喜田村洋一弁護士(自由人権協会代表理事)も、読売には1部も「押し紙」は存在しないと主張してきた。裁判の各種書面にも彼の主張の記録が残っている。

しかし、新聞特殊指定で定義されている「注文部数」とは、「実配部数+予備紙(通常は搬入部数の2%)であって、それを超える部数は理由のいかんを問わず全て「押し紙」である。話し合いで決める性質のものではないのだ。たとえ予備紙の割合が2%を超えたとしても、配達されない新聞が全体の約7割を占め、しかも予備紙として利用されないまま回収されていた事実が明らかになっているわけだから、この7割の新聞は予備紙ではない。「押し紙」以外の何ものでもない。

新聞社の「押し紙」を正当化する弁護士は、新聞特殊指定でいう「注文部数」の定義を正しく理解すべきだろう。

ちなみに、この販売店の元店主は、過剰な新聞の搬入をはっきりと断っている。裁判所に提出された担当員との録音記録がそれを証明している。

山田担当が200(部)切った(減らした)て言っていますけど、それでも1000部以上余っているんですよ、だからここを基本的に直してもらわないと、(経営が)きついですよ、こんだけ紙(新聞)が余っていると。

過剰になっていた新聞が予備紙ではなかったことが、会話の録音でも立証されているのである。

毎日新聞社はいよいよ追い詰められた。