1. ビジネスの国際化に歯止めがかからない、アンゴラでビジネスフォーラム2015を開催、丸紅など37企業が参加

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2015年03月13日 (金曜日)

ビジネスの国際化に歯止めがかからない、アンゴラでビジネスフォーラム2015を開催、丸紅など37企業が参加

ビジネスの国際化がとまらない。世界の隅々にまで、日本企業の進出がはじまっている。『アンゴラ・プレス』などの報道によると、同国の首都ルアンダで3月9日から11日までの日程で、「アンゴラ・ジャパン・ビジネスフォーラム2015」が開催された。

日本から丸紅など、37社が参加した。日本側はエネルギーと水に関する投資に関心を寄せているという。

主催は駐日のアンゴラ大使館であるが、経団連や東京商工会議所などが協賛・協力している。

ちなみに時期を同じくして日本では、12日、安倍晋三首相がキューバのカブリサス閣僚評議会副議長と会談し、米国・キューバ間の国交正常化が楽観視されるなか、日本とキューバの経済交流の強化について意見を交換している。

◇国際化=生活レベルの向上ではない

アンゴラは1975年にポルトガルからの独立を経て、泥沼の内戦を体験した国である。米ソの冷戦時代、代理戦争の舞台になった国で、91年までにキューバもアンゴラ政府の要請を受けて約30万人の派兵を行った。

投資という観点からすると、アンゴラもキューバもほとんど対象外の地域だった。ところが米国・キューバの関係改善に象徴されるように、ビジネスの舞台が世界中に拡大し始めている。

第2次安倍内閣が発足してから後、安倍首相が財界の関係者を同伴して世界各国を訪問しているが、これはビジネスの舞台に国境がなくなり、国が積極的に企業の多国籍化を援助していることの現れにほかならない。

海外派兵の体制づくりも、こうした観点からみるべきだろう。

しかし、問題は日本企業が多国籍化することが、日本国民の生活レベルの向上につながるわけではない点である。と、いうのも海外で現地生産して、海外で商品を販売し、あるいはサービスを提供し、利益をタックスヘイブンの国に預金すれば、日本国民にはほとんどメリットがないからだ。

多国籍企業は繁栄するが、国民は貧しいという矛盾が生じる。

さらに企業の海外進出で国内産業が空洞化するので、どうしても日本を海外から投資しやすい国にしなければならない。出来れば「世界一ビジネスがしやすい国」にする必要がある。

そこで安倍内閣が進めているのが、雇用形態の規制を緩和して、非正規社員を増やし、賃金を抑えたり、解雇を容易にするための法整備である。賃金を「発展途上国」なみに抑えなければ、国際競争には勝てない。

さらに司法制度改革を断行して、国際法務に詳しい弁護士を多量に養成するなどの「改革」を行ってきた。

日本に投資を呼び込むために、日本国民を奴隷化しようとしているのだ。そのための具体的な政策が構造改革=新自由主義の導入である。

国際的なルールも十分に整備しないうちに、「先進国」と呼ばれる国々が、世界市場の獲得競争に乗り出している。中国もラテンアメリカやアフリカで影響力を強めている。こうした時代に、「経済封鎖」などは、かえって競争の足かせになるのだ。

今後、国際化の流れはますます顕著になるだろう。しかし、それが必ずしも大多数の人々の幸福につながるわけではない。バラ色の夢をみていると、大変なことになる。