『人権と利権』の「差別本」認定事件、週刊金曜日・植村隆社長から回答、Colabo代表・仁藤夢乃氏は回答せず❸
社団法人Colabo代表・仁藤夢乃氏が『週刊金曜日』に接触して、同誌が掲載した『人権と利権』の書籍広告に対してクレームを付け、株式会社・週刊金曜日が謝罪告知を行った事件の続報❸である。(連載❶と❷については、本記事の冒頭左に表示されているカテゴリー分類「Colabo問題」からアクセスできる。
手短に経緯を説明しよう。週刊金曜日が同誌(6月16日号)に、『人権と利権』の広告を掲載したところ、Colaboの仁藤氏ら抗議があった。それを受けて、週刊金曜日の植村社長と文聖姫編集長が仁藤氏を訪問して謝罪した。さらに同誌の30日号に、「おわび」の告知を行った。『人権と利権』が差別本に該当する判断に基づいた措置である。
ちなみに、告知に先立って週刊金曜日は、鹿砦社からも編著者の森奈津子氏からも事情を聴取していない。仁藤氏も、鹿砦社に対して抗議していない。いわば右翼が映画館に圧力をかけて、映画館が反戦映画の上映を中止するのと類似した現象が起きたのである。
この事態を受けて、わたしは仁藤氏と植村社長の質問状を送付した。本稿では、その回答を紹介する。次回の連載❹でわたしの見解を述べる。本稿では、わたしの私見は控える。
◆植村社長に対する質問状と回答
はじめまして。貴社にお尋ねしたいことがあり、連絡させていただきました。わたしはフリーランス記者の黒薮哲哉という者です。週刊金曜日が掲載し、仁藤夢乃さんが不服を申し立てられた『人権と利権』と同じスペースの広告で紹介された『新聞と公権力の暗部』の著者です。週刊金曜日が『人権と利権』を差別本だと判断し、それを謝罪という形で公にした影響で、「押し紙」問題を扱ったわたしの本の信憑性が低下するのではないかと危惧する声が寄せられました。そこで念のために教えていただきたいのですが、貴社は『人権と利権』のどの箇所に問題があると判断されたのでしょうか。具体的に教えてください。今週中にご回答いただければ幸いです。(下記のメールまでお願いします。xxmwg240@ybb.ne.jp)
植村社長からは、回答の期限通り7月7日に回答があった。回答の部分を引用しておこう。
(1)ちょうど、本日発売の『週刊金曜日』の私のコラムに、鹿砦社の本『人権と利権』のことを書きました。その中で、私どもがこの本が弊社の広告掲載規定に触れていると判断したことも書いています。問い合わせの答えにもなると思いますので、PDFで添付します。
(2)私どもは、『人権と利権』の本の広告を不手際で、掲載したことを読者に謝罪しているだけで、鹿砦社の広告の他の本について何らの言及もしておりません。
(3)本日7月7日午後、西宮の鹿砦社を訪問し、「謝罪広告」の件などで、松岡利康社長と面談しました。その席で、どこが「人権を侵害するおそれがある」と考えたのかを、説明しました。
ここではコラボ問題のみ同書の表紙やグラビア(口絵)について、説明したいと思います。コラボの仁藤代表はネット上などで誹謗中傷や攻撃を受けています。そうした中で、以下のようなことは、仁藤さんの人権を侵害するおそれがあると考えました。
●「表紙のデザイン」。コラボのバスの写真と、それが傷つけられているように見える表紙。実際にコラボのバスが傷つけられた事件が起きており、それを想起させます。同書の中で、編者の森奈津子さんと対談して富士見市議の加賀ななえさんは、「女性に対する暴力を想起させる表紙はあってはならず、気づかずにいた事は私の過ちです」とツイートで発信しています。『週刊金曜日』も同じような考えています。
●グラビアの1ページ目で、仁藤さんを盗撮しています。これは肖像権の侵害ではないでしょうか。
●グラビアの2ページ目で、「なぜコラボはピンクのバスにこだわるのか。仁藤氏にとって、新宿の繁華街で性搾取される女の子の救済はあくまで手段、方便であり、それよりむしろ彼女が大好きな『ピンク色のバスカフェ』を維持することを優先しているのではないか」と書いています。彼女に取材もせず、彼女のやっていることを証拠もなしに、「手段」「方便」と一方的に言うのは、仁藤さんの人格を傷つけることにはなりませんか。
●グラビアの3ページ目で、「コラボの事務所は歌舞伎町2丁目のHビルにある・・・・ピンクばかりではったりをきかせる張子の虎、イメージ戦略の生臭が浮上する」と書いています。これも憎悪を駆り立てるような記述ではないでしょうか。
以上のようなことを松岡社長にお伝えました。
逆に、私の方から黒藪さんにおうかがいしたいのですが、上記のような書き方について、どう思われますか。ブログで書かれたように、「特別に大きな問題になるような個所はない」とお考えでしょうか。
(4)本日、鹿砦社の事務所で、黒藪さんの著書『新聞と公権力の暗部』を買いました。鹿砦社の広告で知り、読みたいと思っていたのです。力作ですね。さっそく読ませていただきます。
以上、どうぞよろしくお願いします。
◆仁藤氏宛ての質問状
仁藤氏からは、期限通りに回答はなかった。質問状を再送(メール)したが、やはり回答は得られなかった。そこで3度目の催促を行った。次に引用するのは、3度目のメールである。ただし、3度目の質問状では、新たに2項目の質問を追加した。青文字の部分である。回答の期限は厳密に言えば、12日のお昼なので、それまでに回答があれば、本日中に掲載する。
はじめまして。貴殿にお尋ねしたいことがあり、連絡させていただきました。わたしはフリーランス記者の黒薮哲哉という者です。週刊金曜日が掲載し、貴殿が不服を申し立てられた『人権と利権』と同じスペースの広告で紹介された『新聞と公権力の暗部』の著者です。週刊金曜日が『人権と利権』を差別本だと判断し、それを謝罪という形で公にした影響で、「押し紙」問題を扱ったわたしの本の信憑性が低下するのではないかと危惧する声が寄せられました。そこで念のために教えていただきたいのですが、貴殿は『人権と利権』のどの箇所に問題があると判断されたのでしょうか。具体的に教えてください。また、なぜ最初に鹿砦社に抗議されなかったのでしょうか。今週中にご回答いただければ幸いです。(下記のメールまでお願いします。xxmwg240@ybb.ne.jp)
・貴殿が鹿砦社と森奈津子氏に対して抗議されたなかった理由はなんでしょうか?
・東京都へ提出されました会計に関する書面を、わたしかわたしの共同取材者が東京都に対して情報公開請求を実施することに疑義はあるでしょうか。ある場合は、至急にその理由をお知らせください。