1. 対読売裁判の検証、最高裁の担当調査官はだれなのか? 違憲訴訟の提起を

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2014年03月21日 (金曜日)

対読売裁判の検証、最高裁の担当調査官はだれなのか? 違憲訴訟の提起を

6年におよんだ対読売裁判(1年半の間に、読売による提訴が4件、黒薮による提訴が1件+弁護士懲戒請求)を通じて、わたしの内部で生じたジャーナリズムのテーマは多岐にわたる。裁判の舞台が最高裁に移ってから、とりわけ疑問に感じるようになったのは、裁判を担当する調査官の氏名が裁判の当事者にも公表されていないことである。

意外に知られていないが、最高裁では口頭弁論(法廷)はほとんど開かれない。大半の上告(憲法違反を理由とした異議申立)事件、あるいは上告受理申立(判例違反を理由とした異議申立)は、調査官と呼ばれる最高裁事務総局に直属する裁判官により処理される。

と、いうのも上告事件と上告受理申立事件の件数は、年間で優に4000件を超えるにもかかわらず最高裁判事の数が14名なので、物理的に処理しきれないからだ。そこで調査官の出番となるのだが、その調査官も50名に満たない。

たとえば次に示すのは、2011年度の調査官リストである。補佐人を含めても42人しかいない。

■2011年度の調査官リスト

◇最高裁で本当に審理が行われているのか?

最高裁判事と調査官を総動員して(広義の)上告事件を処理するとしても、1年に4000件を超える事件を精査することはまずできない。と、なれば当然、重大で、かつ十分な根拠のある疑惑が生じる。

最高裁は本当に全事件の検証を実施しているのか?上告人から印紙代だけを徴収して、ろくに書面を読みもせずに、適当に決定を下しているのではないか?

対読売裁判では、最初の仮処分申立事件を除く、すべての事件が最高裁まで進んだ。このうち調査官や最高裁判事が精査したことに疑いの余地がない事件は、名誉毀損裁判1(原告・読売、被告・黒薮)である。

この事件はMEDIA KOKUSYO(当時は、新聞販売黒書)の記事に対して、約2200万円のお金(このうち、200万円は、喜田村洋一・自由人権協会代表理事の弁護士費用)を支払うように請求したもので、地裁と高裁はわたしが勝訴した。読売によるお金の要求は退けられた。

ところが最高裁は、わたしを敗訴させ読売を勝訴させる決定を下し、判決を高裁に差し戻した。これを受けて加藤新太郎裁判官が、わたしに110万円のオカネの支払いを命じたのである。

この事件を調査官と最高裁判事が精査したことは、判決が覆った事実で証明される。そこでわたしは、担当した調査官の氏名を公表するように、最高裁に対して情報公開を請求した。しかし、驚くべきことに、最高裁は担当調査官についての記録は保持していないと答えたのである。もし、あるとすれば原審のさいたま地裁の閲覧室に保存されているので、そちらで調べてほしい、と返答してきたのである。

これについては今後、調査する予定にしている。

◇裁判の公開と憲法82条は

わたしは伊方原発訴訟を担当した調査官についても名前を公表するように最高裁に対して情報公開を請求した。が、これについても、該当する資料が存在しないとのことだった。

本当に存在しないのか、それとも隠しているのか?この点だけは判断のしようがないが、わたしは実質的な裁判官である担当調査官を隠して、上告事件を処理するのは、憲法の観点からしても、重大な問題があると思う。

憲法82条は次のように述べている。

第八十二条  裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。

○2  裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

ちなみに文中の「第三章」は、「国民の権利及び義務」に関連した条項で、対読売裁判のケースでは、21条がこれに該当する。

第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

憲法の趣旨からすれば、日本全国の裁判所であたりまえに行われている「弁論準備」も憲法に違反しているのではないだろうか。「弁論準備」は非公開、密室で行われるからだ。違憲訴訟を起こすべきでは?