1. 最高裁の「影の判事」に関する記録の所在は不明、実質的に密室裁判では? 電話取材で判明

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2013年11月06日 (水曜日)

最高裁の「影の判事」に関する記録の所在は不明、実質的に密室裁判では? 電話取材で判明

伊方原発訴訟の最高裁判決にかかわった調査官の氏名を開示するように求めた情報公開請求を最高裁が拒否したことは、既報した通りである。最高裁の通知は次の通りである。

(司法行政文書不開示通知書=クリック)

通知書の末尾に連絡先の電話が明記されているので、念のために最高裁に問い合わせてみた。問い合わせの趣旨は次の通りである。

問い合わせの趣旨:通知書の中に、「1、開示しないことにした行政文書の名称」とあるが、開示請求のフォーマットでは、「司法行政文書の名称」となっている。わたしがこの欄に記入したのは、行政文書の固有名詞ではない。行政文書の特定のしようがないので、次のように記入した。

 伊方原発訴訟[昭和60年(行ッ)133]にかかわった最高裁の調査官の全氏名。

 調査官の氏名が記されたなんらかの文書の開示を求めたのである。文書の名称を指定したわけではない。

 ところが通知書は、「開示しないことにした行政文書の名称」としたうえで、 不開示理由を次のように述べている。

 1の文書は存在しない。

? つまり「伊方原発訴訟[昭和60年(行ッ)133]にかかわった最高裁の調査官の全氏名」が行政文書の名称であり、それが存在しないから、開示しないと述べているのだ。

 本当にだれが伊方原発訴訟を担当したのか記録として残していないのか?

この質問に対して最高裁の職員は、行政文書には調査官の記録はないが、その他の文書には残っている可能性があると答えた。

「具体的には」

「裁判の記録です」

「それは一般に公開されていますか」

「探せば出てくるかも知れない」

結局、職員はどの文書に記録として調査官の氏名が残っているのかを把握していなかった。

これは恐ろしいことだ。だれが実際に伊方原発訴訟の判決を書いたのかを特定できないというのであるから、密室で判決内容を決めて、記録を破棄したということにならないだろうか。

わたしは自分が当事者になった最高裁の判決文を読み返してみた。この裁判は、2008年に読売が「新聞販売黒書(現・メディア黒書)」の記事で名誉を毀損されたとして、約2200万円の賠償を求めて、さいたま地裁へ提訴したものである。地裁と高裁は、わたしの勝訴。しかし、最高裁がわたしを敗訴させ、読売を逆転勝訴させることを決め、判決を高裁に差し戻した。

(対読売裁判の最高裁判決=ここをクリック)

これを受けて加藤新太郎裁判官が、110万円の支払いを命じた裁判である。

最高裁判決は次の通りであるが、どこにも調査官の氏名は記されていない。

形式的には4人の判事が判決を書いたことになっているが、その前段階でどの調査官がどのような検証をしたのかが、裁判の当事者にもまったっく分からないのだ。恐ろしい裁判制度というより言葉がない。

最高裁は裁判員制度の充実に熱心になっているが、改革の順番を間違っているのではないか?