朝日放送による「番組の中止→料金請求」問題で放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立て、
BPO (放送倫理・番組向上機構)に対して筆者は次の申し立てを行った。
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番組名:噂のお買い得セレクション
放送局名:朝日放送
放送日:2011年3月15日
放送時間:27:42~28:12
続きは、次のPDFで。
ここで示した「噂のお買い得セレクション」をめぐる問題は、筆者が取材しているテレビ関連の事件の一部に過ぎない。氷山の一角だ。視聴率の偽造やCMの「間引き」疑惑なども発覚している。
博報堂の事件は、日本の放送界を舞台とする前代未聞の経済事件の様相が強い。テレビ界の在り方が根底から問われているのである。ある意味では、新聞社の部数偽装問題よりも深刻だ。テレビは圧倒的な影響力を持つからだ。
それが後述するように、関係者の極端な「拒否反応」を生んでいる原因かも知れない。
◇PDFへリンクした理由
ちなみに、BPOがウェブサイト上に準備している申し立てのメールフォームは、500文字以内に制限されている。そのために申し立ての内容を説明するには無理があった。そこで説明と証拠の部分をPDFへのリンクにしたのだ。
一体、BPOの本部は、500文字内で視聴者が十分に意見を表明できるとでも思っているのか、初歩的な疑問もある。
とはいえ、BPO (放送倫理・番組向上機構)といえば、NHKの『クローズアップ現代』で放送された「追跡"出家詐欺"~狙われる宗教法人~」(2014年5月14日)のヤラセ疑惑に対して放送倫理の問題を指摘するなど、放送界の監視役のような印象がある。
2003年に日本テレビで起きた視聴率操作事件では、再発防止を呼びかける声明を出した。そこでは日本テレビを指して、
テレビ局のプロデューサーが担当番組の視聴率を上げるために、制作費を使って視聴率調査対象者に金品を贈るようなことは、放送・広告関係者だけでなく、視聴者や社会を欺く背信行為と言わなければならない。
と、厳しく批判している。声明には次の3氏が名前を連ねている。
放送と人権等権利に関する委員会委員長:飽戸弘
放送と青少年に関する委員会委員長:原寿 雄
放送番組委員会委員長:木村尚三郎
◇不誠実なBPO本部の対応
当然、視聴率やCM間引きの問題にも関心があるものと筆者は思っていた。そこで今回の申し立てに先立って、事務局に問い合わせたが、取材にはまったく応じる気配がなかった。正直、ひどく横柄な対応に感じられた。取材を断るにしても、最低の礼節をわきまえるべきだと思うのだが、横柄さは「拒否反応」の影響なのかも知れない。
次に紹介するのは、電話会話の録音を文字化し、整理したものである。公表に際しては、相手の承諾を受けている。読者には、内容そのものに論理が欠落して、話が噛み合っていない部分があることを読み取ってほしい。
最初に電話対応した女性に、事情を説明した後、電話を代った男性との会話である。
BPO: 広報、吉田(仮名)と言いますが。
黒薮:ちょっとお尋ねしますが。
BPO: 取材ですか?
黒薮:そうです。
BPO: BPOは取材には応じていないんです。と、いうのは委員会が決めることでございますから。委員会は月に1回しか開かれないものですから。
黒薮:取材に応じないということでよろしいですか?
BPO: はい。
黒薮:全然、この問題に関しては、関知しないということですね。
BPO: この問題といいますと。
黒薮:視聴率の偽装問題とCMの「とばし」、いわゆる放送せずに・・・
BPO:委員会が決めることですので、委員会が決めたらホームページ上に載せる、審理入りした場合はちゃんと、検証委員会では取材に応じていますし。
黒薮:どういう手続きを踏めばいいわけですか。
BPO:手続きですか?検証委員会であれば、委員会ですから、開いてみないと分からないんですよ、中身は。
黒薮:ええ、ですから外部から問い合わせをしているわけです。
BPO:だから取材には応じていないんです。
黒薮:応じていないということでいいんですか。
BPO:ホームページをご覧いただいて、委員会が今、どういうことをやっているか、
黒薮:日テレの視聴率の問題で前に声明をだされましたよね、
(沈黙)出されましたよね。
BPO:はい。(沈黙)ええっとね。ホームページ上で公表していれば、出してます。
黒薮:こうしたことは防止するということで、出されたのではありませんか? なぜ、今回に関しては、
BPO:委員会が決めることですんで。
黒薮:いつ開かれますか?
BPO:BPOのホームページをご覧にいただければ分かると思います。
黒薮:じゃあ、今話されたとおりに出しますので。それで結構ですか。
BPO:かまいません
黒薮:分かりました
BPOもジャーナリズムの関係機関なのである。それがこの対応では、絶望的だ。放送界の問題には、新聞業界の「押し紙」と同じく、なかなかメスが入らない可能性もある。