博報堂が月間100本のCMを割り当てた(株)スーパーネットワークの実態、博報堂が株の5割を所有、役員の兼任も判明
博報堂VSアスカコーポレーションの係争は、CMの「間引き疑惑」にも発展しそうだ。
CMコードは、テレビでスポットCM(コマーシャル)が放送されたことを示す証明書である。CMコードのない放送確認書は原則として無効。
メディア黒書が入手したCMコードがない放送確認書の枚数を放送局別に分類したところ、(株)スーパーネットワークのものが38枚あることが分かった。1枚の放送確認書には、放送対象となったスポットCMについてのデータが、月ぎめで、放送された順番にプリントアウトされている。従って放送確認書の枚数がCMの本数ではない。
それを念頭にCM本数を調べたところ、「間引き疑惑」がかかっているCMの本数は、スーパーネットワークだけで934本にもなる。この数字を分析したところ、新たな検証点が浮上してきた。
まず、最初に934本の月別の内訳を示そう。
この一覧表の「赤→」と「青→」の部分に注目してほしい。「赤→」は、2013年12月のデータでCM本数は33本。この時期までは、多い月でも50本程度である。
その後、2014年1月から8月までの8カ月間は、CMは放送されていない。
この間の放送確認書が紛失している可能性も若干あるが、当時、アスカは経営が悪化したことや、CMのPR効果が著しく低下したこともあり、テレビを使ったPR作戦を取りやめる方向性を打ち出していたので、放送確認書が発行されていない公算の方が高い。
実際、全体的にみても、2014年はCM本数が減っている。
ところが不思議なことに、「青→」の部分が示すように、2014年9月、突如としてCMが100本放送されたことになっている。驚愕させる数字である。しかも、その前8カ月の間は0本である。
◇CMコード=放送証明
改めていうまでなく、2014年9月のCM100本には、CMコードが印字されていない。「間引き疑惑」がかかるゆえんである。
もともとテレビ業界がCMコードを採用するようになった背景には、静岡第一放送などでCM間引き事件が発覚(1999年)したことなどがある。これを防止するために、CMが放映されると自動的にCMコードが刻印されるシステムが開発されたのである。
従ってCMコードがないものは、放送されていないと解釈するのが原則である。とはいえ例外は常にあるので、それを覆すためには、説明が必要だ。
しかし、CMを仲介し請求書を発行した肝心の博報堂は取材を拒否している。係争を理由に説明責任を回避している。
◇博報堂が株式の50%を所有-(株)スーパーネットワーク
そこでメディア黒書は、調査の新段階として、CMコードがない放送確認書を作成した(株)スーパーネットワークについて調査を始めた。その結果、この会社の株式を博報堂が50%所有していることが、博報堂の有価証券報告書で分かった。また、役員の兼任も確認された。
つまりCMの仲介をした博報堂が、実質的に運営にかかわっている(株)スーパーネットワークに対して、2014年9月、100本の疑惑CMを割り当てたともいえる。この100本が、本当に放送されたのか否かが今後の検証点のひとつになる。
【参考記事】
朝日新聞:「岩手県施設、指定管理者(博報堂)が入館者数を水増しバイト使い」
産経新聞:津波記録誌で「怠慢」編集 岩手県大槌町、東北博報堂との契約解除