黒塗りで公開された朝日広告の公共広告、制作費だけで6000万円は妥当なのか?
メディア業界の「闇」の領域-外部からではなかなか見えない謎のひとつが大手広告代理店による広告関連業務から発生する費用の見積もりの実体である。彼らは何を基準として、広告制作費などの価格を設定しているのだろうか。
たとえばわたしの手元に(株)朝日広告が最高裁に対して送付した請求書の写しがある。業務の名目は、「裁判員制度広報のメディアミックス企画及び実施業務」である。これはわたしが情報公開制度を利用して入手したものである。
裁判員制度をPRすることを目的とした広告制作に関する請求だ。
総額は6億8663万7400円(2008年4月のデータ)。
広告を掲載するのは、全国の新聞や雑誌、ウエブサイトなどである。まず、新聞広告の掲載料の例を検証してみよう。大きさは全面(15段)。
朝日新聞:41,241,781円
毎日新聞:28,862,240円
読売新聞:48,346,000円
その他・・・
何を基準にこうした莫大な金額を設定したのか、情報が開示されていないのでさっぱり分からない。ちなみに、一般企業の広告は大幅に低落している中で、公共広告だけは広告の相場がほぼ横ばいだ。
さらにこの請求書で不可解なのは、広告制作(写真撮影、版下など)に関する請求の詳細がすべて黒塗りになっている事実である。公開されているのは、合計金額だけだ。その額は、
61,018,000円
しかし、新聞広告の場合、版下はいくつかの定型を使用するので、掲載紙(誌)の数だけ版下を制作する必要はない。200ページ程度の書籍の版下を製作する場合、高くても30万円程度であることを考えると、適正な見積もりだったのか検証する必要がある。
その他の諸経費を合計しても、6100万円はあまりにも高額だ。
裁判所の予算は税金から調達されているわけだから、もし、朝日広告の請求が過剰であるとすれば、返済を求める訴訟も必要ではないか?
日本の大手広告代理店の実体はよく分からない。闇の中だ。「押し紙」問題と同様に、今、徹底解明が必要なメディアの領域といえるだろう。
■情報提供はメディア黒書(048-464-1413)まで