再考、「低料第3種郵便物の割引制度」を悪用した広告戦略、博報堂エルグ(福岡市)が関与
広告代理店が起こした事件の代表格といえば、「低料第3種郵便物の割引制度」(障害者団体の定期刊行物を、格安な郵便料金で送るための優遇制度。)を不正利用した事件である。2008年10月に朝日新聞のスクープによって明らかになった。
具体的な不正利用の中身は単純で、企業がPR活動などの手段として利用するダイレクトメール(広告の一種)を、障害者団体の定期刊行物と偽って、違法な低価格で発送していたというものである。
当然、この障害者を対象とした優遇措置を得るためには、障害者団体であることの証明が必要だ。その便宜を図ったのが厚生労働省の職員であった。事実、虚偽公文書作成罪などに問われた。
このような方法で、企業は総額数十億単位の経費を削減したと言われている。
この事件に博報堂がからんでいた。
◇博報堂はこの事件にどう関与したのか?
企業が「低料第3種郵便物の割引制度」を利用して格安価格でダイレクトメールを送った事件に、広告代理店である博報堂(注:厳密にいえば同社の子会社で福岡市を拠点とする博報堂エルグ社)がどう関与していたのだろうか。
結論を先にいえば、「博報堂エルグを通じた提案」(2009年5月6日付け博報堂広報部の文書)をおこなっていたのである。ここでいう提案とは、念を押すまでもなく、「低料第3種郵便物の割引制度」を悪用する提案である。不正行為を奨励したのである。
当時、日本郵政は、博報堂に広告に関する業務を全面委託していた。
この不正手口に乗った企業は、たとえば家電量販店のベスト電器である。この会社は、福岡市博多区に本部がある。博報堂エルグ社も福岡市にあったので、地理的な観点から見ても整合性がある。他にも九州にある企業がこの事件に巻き込まれている。
当然、博報堂エルグの執行役員は逮捕されている。逮捕を受けて、博報堂は2009年5月6日、「大阪地方検察庁による当社子会社執行役員に対する郵便法違反による起訴処分と、今後の対応につきまして」と題する文書を公開している。次のリンクである。
■大阪地方検察庁による当社子会社執行役員に対する郵便法違反による起訴処分と、今後の対応につきまして
■広告代理店に関する情報提供は、048-464-1413(メディア黒書)まで。