内閣府から電通へ9100万円、熊本地震復興の広報活動が名目、請求書明細は開示されず業務不履行の疑惑も
筆者は、1日に内閣府から約1000枚の情報公開資料を入手した。内訳は、政府広報に関連した契約書と請求省である。いずれも2016年度分である。
情報公開を請求してから、開示までに1年以上も要した。異例の遅れである。内閣府は、筆者に開示を断念させたかったのかも知れない。
今後、時間をかけて検証を進めるが、どう考えても不自然な請求が大量に存在することが分かった。ほんの一例を紹介しよう。
◇地震に便乗した政府広報
2016年4月14日、熊本県を大震災が襲った。この震災の8日後、つまり4月22日に内閣府と電通の間である契約が交わされた。題目は、「平成28年熊本地震被害地向け広報業務」である。
契約金は、約9100万円。
内容は、①熊本日日新聞、西日本新聞、大分合同新聞に掲載する広告の制作と掲載。②ラジオ番組の制作・放送、③被害者向けポータルサイトの企画・制作、④事務局の設置と著名人からの応援メッセージの制作・収録、などである。
ところがこの企画の請求書を見て驚いた。請求明細がないのだ。もともと存在しないのか、それとも故意に開示しなかったのかは不明だが、請求書の表紙しか見ることができない。
これでは活動の詳細が分からない。いつ新聞広告を掲載し、いつラジオ放送をしたのか、まったく把握できない。仕事を全部履行していない可能性もある。
◇インボイスナンバー欠落の意味
また、請求書の型式そのものが奇妙だ。おそらくはパソコンのエクセルかワードで作成したものである。電通のような大企業は、コンピューターと連動した会計システムを導入しているはずだから、通常であれば、こんな請求書がプリントアウトされることはあり得ない。
それに何よりも異常なのは、請求書にインボイスナンバーが印字されていないことである。インボイスナンバーは、請求書をコンピューター処理するために刻印される。クレジットカードやキャッシュカードが番号でコンピュータ管理されるのと同じ原理である。
つまりインボイスナンバーが刻印されていないということは、コンピュータと連動した電通の正規の会計システムとは、別会計になっている可能性が極めて高いことを意味する。電通に広告費を払ったことにして、別の裏口座に入金した疑惑があるのだ。公費による裏金づくりを疑う必要があるのだ。
詳細は検証後に公表するが、今回、入手した請求書には、インボイスナンバーが刻印されていないものが大量に存在する。しかも、それが電通だけではなく、全広告代理店にまたがっている。