加計学園事件で疑惑の的ー内閣府を検証する衆議院内閣委員会が開かれなかった異常
加計学園事件を解明するための鍵を握る国会の衆議院内閣委員会が、今国会では開かれない見通しであることが分かった。疑惑解明は秋の臨時国会まで持ち越されることになる。
複数のメディアが報じているように、内閣府が文部科学省に加計学園の獣医学科開設を早急に進めるように促していたとされる文書が存在する。と、すれば当然、国会の内閣委員会は、管官房長官を出席させて、この問題を徹底的に検証しなければならない。文部科学省よりも、むしろ内閣府の調査の方が肝心なのだ。
ところが今国会では、内閣委員会を開催する予定はないという。それが同委員会の多数派である自民党の方針である。
◇博報堂事件と加計学園事件
今国会における内閣委員会の開催状態は異常だ。委員会は3月に始まり、3月中は順調に開かれていた。ところが4月12日に開催されたあと、延々と休会が続いた。再開されたのは、6月7日だった。実に2ヶ月近く開かれなかったのだ。しかし、7日の委員会が最終回になる見込みだ。
筆者がこのような異常な実態を細かく把握していたのは、内閣府と博報堂の広告取引に関する国家予算の出費についての国会質問を、内閣委員会に所属する共産党議員に依頼していたからである。その前段として筆者は、博報堂事件について筆者が書いた『週刊金曜日』の記事を、自民党を含む内閣委員会の全議員に送付した。博報堂事件についてまじめに考えてもらおうという意図から送付したのである。
ところが肝心の内閣委員会が開かれない。その結果、筆者ははからずしも、内閣委員会の開催状況をチェックするようになったのだ。
周知のように加計学園の問題をメディアが連日のように報じはじめたのは、5月の後半になってからだ。しかし、内閣委員会はそれよりもはるか以前から休会になっている。これは自民党議員が、内閣委員会で博報堂事件や加計学園事件の追及を受けることを警戒していたためである可能性が高い。少なくとも筆者はそんなふうに推測している。
最初は博報堂事件を、次に加計学園事件を警戒して、休会を続けたのだろう。そして最後に申しわけ程度に7日に開き、格好をつけたのだ。
野党が国会審議に応じないことはよくあるが、与党が「数の力」で審議に応じないのはめずらしい。それは議会制民主主義の否定にほかならない。
なお、内閣委員会の秋元司委員長(自民党)の見解は、返答があり次第に紹介する。
【写真】内閣委員会の秋元司委員長