1. 加計事件にゆれる文科省、ウエブサイト制作費として博報堂へ2年で約4000万円、請求書にも重大疑惑

大手広告代理店に関連する記事

2017年06月08日 (木曜日)

加計事件にゆれる文科省、ウエブサイト制作費として博報堂へ2年で約4000万円、請求書にも重大疑惑

加計学園の事件を機として関心を集めているのが内閣府と文部科学省の実態である。これら2つの腐敗した組織は、はからずも広告代理店・博報堂との取り引きにおいても不透明な実態が明らかになっている。

このうち内閣府については、既報したようにインボイスナンバーを外して会計監査・システム監査を回避した疑惑がある。総額64億円の請求書の存在が明らかになり、メディアもある程度まで報じた。これに対して文部科学省の実態はあまり知られていない。日本の教育の司令塔であるこの組織の不透明な実態を紹介しよう。

結論を先に言えば、たとえば文部科学省が2015年度に博報堂に発注した「日本人の海外留学促進事業」の実態である。たった9ページのウエブサイト制作費として、文部科学省は博報堂に対して2100万円もの資金を支払っていた。

さらに2014年度にも、同じプロジェクトで、1500万円のウエブサイトを博報堂へ、170万円のウエブサイトを博報堂プロダクツへ、それに110万円のウエブサイトを(株)パズルに発注した。

文部科学省が2年間で支出したウエブサイトの制作費は、3880万円にもなる。通常、ウエブサイトは、少なくとも5年ぐらいは使えるはずだが、発注を繰り返しているのだ。それに制作費も異常な高額だ。法人用の価格でも300万円ぐらいが限度である。

◇重大事実の裏付け

さて、筆者が上記の事実を突き止めた経緯を説明しおこう。筆者は2016年に、情報公開制度を利用して、「日本人の海外留学促進事業」の契約書、請求書、成果物を入手した。

■契約書と請求書

これらの書面のうち文部科学省は請求書の大部分を黒塗りにして開示してきた。次の資料がその実物である。

文部科学省が開示した資料では、支払い明細が分からない。そこで筆者は、行政事業レビューシートを調べた。この資料には、前年の国家予算の支出実績がかなり詳しく記録されている。従って2016年のものを調べれば、2015年度の支出実績が分かり、2015年のものを調べれば、2014年度の支払い実績が判明する。

次に示すのが裏付けである。赤字の部分に注目してほしい。

■2016年度の行政事業レビューシート

 

■2015年度の行政事業レビューシート

ちなみに印刷・発送費として、2700万円(2015年度)、2900万円(2014年度)という数字が記録されているが、一体、何を印刷して、誰の発送したのかも調査する必要があるだろう。

◇文科省でもインボイスナンバーを外した請求書

さらに請求書には、情報の隠蔽という問題だけではなく、次の重大な疑惑がある。請求書を注意深く見ればすぐに分かるが、インボイスナンバー(請求書の番号)が外してあるのだ。インボイスナンバーを外すことがなぜ問題なのか?

結論を先に言えば、会計監査を逃れて、裏金づくりをする温床になるからだ。
これについては、メディア黒書の記事から、次の記述を引用しておこう。

【故意にインボイスナンバーを外す意味】
インボイスナンバーとは、請求書に付番されている書類番号である。この番号は、書面の整理番号である。日本国民をマイナンバーでコンピューター管理するように、請求書はインボイスナンバーでコンピューター管理される。そして通常は、見積書や納品書のナンバーとひも付きになっている。

コンピューターと連動した会計システムを導入している企業は、インボイスナンバーを付番することで、合理的に経理作業を進める。会計監査とシステム監査も合理的におこなう。もちろん博報堂もコンピューターと連動した会計システムを導入している。

したがってあえて正常な商取引でインボイスナンバーを外した合理的な理由は存在しない。博報堂は、社内では付番していると説明しているが、なぜ、社内では付番して、社外向けには、ナンバーを外した別の請求書を送付しているのか理由は分からない。

しかし、法的な観点から見ると、インボイスナンバーを外した請求書の発行が違法行為にあたるわけではない。エクセルやワードの請求書も合法である。請求書の書式が自社のロゴ入りの公式のものでなければならないという法律もない。この点について、取材した税理士は次のように話す。

「違法行為にはあたらないことを熟知した上で、こうした請求書を発行しているのでしょう」

法の抜け道があるというのだ。

◇加計学園の問題よりも重大

繰り返しになるが、コンピューターによる会計システムを導入している企業がインボイスナンバーを故意に外した事実は、会計監査を逃れた可能性を示唆するのだ。裏金作りの疑惑にもなるのだ。

ちなみに内閣府の場合、 インボイスナンバーを外した請求書が新聞広告の分だけで4年間に約64億円にもなっている。まったく同じ疑惑が文部科学省にもあるのだ。ある意味では、加計学園の問題よりも重大なのだ。

内閣府と文部科学省は、加計学園の件で安倍首相の隠蔽に荷担しただけではない。他にも不透明な実態がある。今後、このような体質を改めないのであれば、博報堂だけではく、PR事業に関連した他社についても、調査する必要があるだろ。

【写真】松野 博一文部科学大臣