windows画面が表示された奇妙な放送確認書について電通が回答、「Mnet社が当社宛てに発行したものです」
電通と衛星放送局Mnet(CJ E&M Japan株式会社)の不可解な取り引きが明るみにでた。24日付けのメディア黒書で報じたように、テレビCMを放送したことを立証する放送確認書(広告主は株式会社ライオン)にさまざな疑問点が発見されたのだ。
◇CM放送の仕組み
テレビCMの制作と放送は次のようなプロセスになっている。広告主(この件では、ライオン)が電通にCMを発注する。電通がMnetと打ち合わせてCM放送の段取りをする。そのCMが放送されると、放送確認書が発行される。それを見て広告主は、CMが放送されたことを確認する。
ところがその放送確認書に不可解な点が複数あることに加えて、ライオンがMnetの放送確認書自体を見たことがないと言っているのだ。
常識的には、この放送確認書を根拠としてMnetが電通に請求を起こし、電通の担当者がMnetに料金を支払ったと考えるのが自然だ。一方、ライオンが電通に料金を支払ったかどうかは分からない。と、いうのもライオンはMnetの放送確認書を見たことないと言っているからだ。
この件に関して、電通に次の問い合わせをしていたところ、24日に回答があった。まず、筆者からの質問を紹介し、それから回答を示そう。
◇電通への質問と回答
【質問】Mnet発行の放送確認書は、貴社が制作されたテレビCMの放送に伴って発行されたものでしょうか。広告主であるライオン社に問い合わせたところ、貴社に2016年5月ごろ、テレビCMを発注したが、この放送確認書は一度もみたことがないとのことです。また、素材の中身がライオン社のものではないとのことです。
【電通の回答】
ご質問につきまして、以下のとおり回答させていただきます。
確認書はMnet社が当社宛てに発行したものです。
記載内容については、すべて正しく放送されていたことを確認しております。
株式会社電通
コーポレートコミュニケーション局国内広報部
◇再び電通へ質問状
筆者は、電通の回答に対してメールで再質問した。以下、それを紹介しよう。
ご連絡ありがとうございます。
あまりにも不可解な点が多いので、念のために次の点についてお尋ねします。
①放送局の住所が間違っているわけですが、これについてMnet(CJ E&M Japan株式会社)へ指摘されなかったのでしょうか。Mnetから博報堂へ宛てた放送確認書でも同じ住所のミスがあります。その書面は古いものでは、2014年5月になっています。つまり少なくとも3年も同じミスがある放送確認書を受け取っていたと解釈してもよろしいでしょうか。
②放送確認書に10桁の放送確認コードが表示されていませんが、何を根拠に「すべて正しく放送されていたことを確認しております」と返答されたのでしょうか。
③放送確認書になぜWindowsの画面が表示されているのでしょうか。
④(株)ライオンは放送確認書に明記されているCM内容(素材)が同社のものではないと言っていますが、放送内容も確認されたのでしょうか。
◇広告代理店は国民にとって本当に必要なのか?
ちなみに電通は、広告業界では圧倒的なシェアを占めている。2002年まで公正取引委員会の委員長を務めた根来泰周氏が、電通に天下りしていた時期もある。独禁法に抵触している可能性もあるが、なぜか、これまでまったく問題になっていない。
同社は博報堂と並んで、原発PRの推進部隊として「貢献」してきた。このあたりの事情は、本間龍氏の『原発プロパガンダ』(岩波新書)に詳しい。この本を読むと、広告代理店のあり方を根本的に再考する必要を感じるだろう。
【参考記事】機能不全の公取委 歴代委員長が電通はじめ「寡占企業」に堂々と天下り
また、Mnetを運営するCJ E&M Japan株式会社は、韓国系の衛星放送局で、放送の他にもさまざなまビジネスを展開している。