1. 博報堂ルートの政府新聞広告、内閣府の不自然な説明、掲載料の支払いは広告掲載の1年後?

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2017年05月22日 (月曜日)

博報堂ルートの政府新聞広告、内閣府の不自然な説明、掲載料の支払いは広告掲載の1年後?

5月19日に内閣に対して次の文面で、情報公開請求を申し立てた。

2016年度(2016年4月~2017年3月)に内閣府と内閣官房が広告代理店と交わした契約書、及びそれに対応する見積書と請求書の全部。見積書が存在しない場合は、契約書と請求書。

同じ趣旨の情報公開請求を筆者は、2012年度から2015年度までの各年分に対しても行い、内閣府が博報堂との間で交わしたプロジェクト・「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広告テーマの広報実施業務等」の契約書と請求書を入手している。今回は、このプロジェクトの2016年度分の請求を行ったのだ。

参考までに、2015年度分を紹介しておこう。メディア黒書の読者には、すっかりお馴染みになった真っ黒な請求書である。

■2015年度分の「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広告テーマの広報実施業務等」

さて、既に筆者が入手している2012年度分から15年度分の資料に関して、これまで指摘してこなかったある問題がある。

◇回答したのは東京新聞と朝日新聞だけ

請求書(前出PDF)の実物を見れば明らかなように、請求書は毎月発行されている。当然、筆者は、広告掲載料は毎月、博報堂を経由して新聞各社に支払われているものと思っていた。それを前提に筆者は昨年、つまり2016年中に、2016年度分の新聞広告に関連する書面(契約書と請求書)のうち、すでに経理処理が終わったものを開示するように内閣府に求めた。これに該当するものは、2016度の初期(4月、5月から6月など)に制作・掲載された新聞広告である。

ところが内閣府は、2016年度の「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広告テーマの広報実施業務等」の契約終了は2017年3月末なので、その後に支払い手続をする関係で、年度が終了するまでは情報開示はできないと返答している。

実際、今年(2017年)の4月に、2016年度の「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広告テーマの広報実施業務等」に関する資料を請求しようとしたところ、まだ、経理処理が終わっていないので5月に入ってからにしてほしいとの回答があった。その結果、情報公開請求の手続が5月19日になったのである。

しかし、冷静に考えると2016年度分の新聞広告に関する経理処理を、年度が終了したのちの4月に行うというのは変な話である。契約が終了するまでは、支払いが出来ないからというのが内閣府の言い分なのだが、理論的には正しくても、実際はおかしな話である。

と、言うのもたとえば4月に掲載した広告の掲載料が、次年の4月まで支払われないことになるからだ。しかも、その金額は尋常ではない。2015年度には、総額で20億円を超えているのである。広告を掲載した新聞社が、支払いを1年も待つだろうか?

筆者は、本当に博報堂ルートの広告費が新聞社に届いているのか、全国72の新聞社に書面で問い合わせてみた。回答があったのは東京新聞と朝日新聞だけだった。ただし、広告費を受け取ったか否かの回答はなかった。

2012年度から2015年度までの「政府広報ブランドコンセプトに基づく個別広告テーマの広報実施業務等」に関しては様々な疑惑がある。内閣府は2016年度の資料に関しては、黒塗りせずに全文を公開すべきだろう。

【参考記事】博報堂によるエクセルやワードによる「手作り」請求書、対象は内閣府と中央省庁だけ、地方の「役所」宛ては正常