徹底した調査が不可欠、元内閣府・阪本和道審議官の博報堂への天下り、博報堂への支払いはプロジェクト落札価格17億円を8億円超過、25億円に
内閣府でも天下りが明らかになっている。内閣府のナンバー2の要職にあった阪本和道元審議官が博報堂に再就職した問題である。博報堂が阪本氏を受け入れた背景は・・・。
『毎日新聞』(1月24日付け)の報道によると、「松野博一文部科学相は24日の閣議後記者会見で、組織的な天下りのあっせん問題を調べる大臣直轄の調査チームを設置したと発表した」という。
天下りはかねてから汚職の温床として問題になってきたが、放置されてきたのが実態だ。天下りを受け入れているある広告代理店のOBは、次のように話す。
「天下りした者は、再就職先へ省庁の仕事を持っていくのが常識中の常識です。さもなければ、高い報酬を払って老人を再雇用するメリットはありません」
改めていうまでもなく、天下りの実態を調査する必要があるのは、文部科学省だけではない。内閣府も調査すべきだろう。
◇博報堂へ25億円
メディア黒書で繰り返し報じてきたように、内閣府の「ナンバー2」だった審議官・阪本和道氏が2016年の1月(退官の半年後)に、博報堂に再就職していた事実が明らかになっている。メディア黒書に匿名の通報があり、公文書(「国家公務員法第106条の25第2項等の規定に基づく国家公務員の再就職状況の公表について」)で、筆者が事実関係を確認した。
内閣府と博報堂の間には、2012年度から不自然な取り引きが続いている。
詳細はメディア黒書で報じてきた通りである。
たとえば2015年度に内閣府と博報堂で交わされたPR活動の契約は、契約額が約6700万円だが、単価契約(各作業の単価を設定して、自由に作業量を増減できる契約)を連動させていることを根拠に、見積書も作成せずに、次々と請求書を送りつけ、最終的に内閣府が支払った額は約25億円に達している。
※単価は、6700万円の構成要素で、単価契約としては認められないとする説もある。
たとえ単価契約を根拠とした請求が正当としても、このプロジェクトの落札額は約17億円で、落札額を8億円も超過している。繰り返しになるが、見積書も存在しない。
◇電通の版下制作費、内閣府は公文書で記録せず
さらにこのプロジェクトで制作された新聞広告の版下の一部を電通が制作していることが明らかになっている。その完成した版下を博報堂に提供し、博報堂が新聞各社に版下を配信して、広告掲載料のマージンを得たことになっている。
これについて前出の広告代理店OBは次ぎのように話す。
「電通が版下を制作して、博報堂に提供し、博報堂が版下を新聞各社に配信して広告掲載料のマージンを得る構図は不自然です。版下の制作費は30万円程度で、電通に何のメリットもないからです。小さな広告代理店が版下を制作して、電通に提供することはあり得ますが、その逆はまずありえません。」
ちなみに筆者が内閣府に対して、電通に支払った版下制作費の額を示す文書を公開するように求めたところ、内閣府は不存在と返答してきた。つまり版下制作費として電通に幾ら支払ったのか、内閣府は公文書で記録していないのだ。
このように内閣府と博報堂、さらには電通との間には、極めて不自然な取り引き関係がある。
既に述べたように、このような不自然な取り引きは2012年度から始まっている。
管官房長官は、阪本元審議官と博報堂の関係を綿密に調査する必要があるのではないか。