内閣府が釈明、博報堂との業務契約書の解釈について、6700万円は「戦略の構想」費
12月12日付けのウエブサイト「ビジネスジャーナル」に掲載されたわたしが執筆した記事に対して、内閣府からわたしに釈明があった。内閣府が問題にした記事のタイトルは「内閣府、博報堂へのCM発注額を「黒塗り」…発注額と契約金額に30倍の乖離、見積書なし」。
この中で内閣府が釈明したのは、次の記述の赤字箇所である。
ちなみに契約書によると、業務内容は「政府広報コミュニケーション戦略の構築」や新聞広告、テレビCM、バーナー広告の制作・掲載などである。これらのPR活動の費用として約6701万円という額を契約していながら、実際の請求は20億円を超えているのだ。
確かに請求額が契約額を上回ることはある。しかし、ここで指摘しているケースのように、契約額の約30倍にも達しているケースは稀である。かりに契約価格を請求額が上回るのであれば、受注元(今回は博報堂)が契約外の業務を行うに先立って見積書を発行して、内閣府の承諾を得るのが一般的である。
◇内閣府の契約書の解釈
記事で批判の対象になった人物や組織の言い分を紹介するのは、ジャーナリズムの基本原則なので、内閣府の言い分を紹介しておこう。
まず、内閣府が問題にしたのは次の契約書と請求書である。
この書面の27ページに、博報堂が内閣府に対して請求を起こすための根拠となる契約書がある。冒頭部分を下記に示そう。
内閣府の言い分は、契約額の約6700万円は、「政府広告コミュニケーション戦略の構想」に対する額であって、新聞広告やテレビCM、それにバーナー広告の制作などは、それとは別に契約書に示された単価に応じて、支出できる契約になっているというものである。それゆえに、6700万円の30倍を超える請求になっても、なんら不正行為ではないという主張である。
この契約書をどう解釈すべきかは一概には言えないが、わたしにはそんなふうには読めない。何度読みかえしても、契約額が6700万円で、すべての業務はその範囲内で行うとしか解釈できない。実際、「戦略の構想等」になっている。
第一、「戦略の構想」費として、6700万円は高額すぎる。
しかも、追加の仕事(新聞広告の制作など)に対する見積書がないのであるから、取引そのものが不透明だ。
ただ、内閣府の主張であるから、参考までに紹介しておく。
【写真】博報堂が制作した広告