総務省からは博報堂へ調査事業で11億9300万円、多数の高額請求を戸田裕一社長名で繰り返す
メディア黒書では、博報堂事件を断続的に報じてきたが、実は情報公開制度とは別のルートから入手した資料もある。
たとえば総務省が実施している「統計調査の実施事業」と題するプロジェクトにみる出費である。このプロジェクトの事業概要は次のようになっている。
・ 平成27年度においては、国内の人口・世帯の実態を把握し、各種行政施策その他の基礎資料を得ることを目的とする国勢調査を実施。
・ 国が必要とする統計調査の費用は、地方公共団体が負担する義務を負わない(地方財政法第10条の四)ことから、全額を国庫で負担。
つまり統計を取る業務である。
2015年度は、約696億円が投じられた。その大半は、全国の地方自治体へ支払われたものであるから、おそらく大きな問題はないだろうが、一部の企業に対しても高額な費用が支払われている。
博報堂には、この業務で総額11億9300万円が割り当てられた。業務の詳細については、今後、情報公開請求で契約書を開示して確認するが、事業概要は次のようになっている。
・平成27年国勢調査の広報に関する総合企画(平成27年度実施分)の実施業務
・平成28年経済センサス-活動調査の広報に関する総合企画の実施業務(平成27年度から平成28年度)
次に示すのが金額の裏付け資料である。
◇「代表取締役社長 戸田裕一」名で高額請求を繰り返す
筆者の手元には、博報堂に関する情報が多数集まってくるが、契約書類と請求書類には、博報堂の「代表取締役社長 戸田裕一」の名前と捺印がある。つまり戸田社長(冒頭写真)の名において、契約を交わし、公費を請求してきたのである。
しかも、その金額が相当大きい。なかには文部科学省の例にみるように、ひとつのプロジェクトでウエブサイトを2年連続して制作するなど不自然なものもある。価格は、1500万円(平成27年度)、2100万円(平成28年度)である。博報堂プロダクツも170万円(平成27年度)のウエブサイトを制作したことになっている。
博報堂の最高責任者である戸田氏は、このあたりの事情を把握しているのだろうか。金額が大きいだけに、自分の名前で請求が起こされていることを、もう一度認識すべきだろう。
大変な疑惑が掛かっているのは、次に紹介する黒塗りの情報公開資料だけではない。