内閣府は2015年度の広告費をどこから調達したのか、少なくとも5億200万円の出所が不明、新聞社にも疑惑、大疑獄事件の様相
内閣府と広告代理店、それに新聞社に重大な疑惑がかかっている。
「平成27年度政府広報国内予算の執行状況」と題する内閣府の文書によると、2015年(平成27年)度における内閣府のメディア向け予算執行額は43億1500万円だった。ところが電通や博報堂など広告代理店各社が内閣府に請求した金額の合計は、筆者が『週刊金曜日』や『ZAITEN』に記事を書く際に集計したところ、予算執行額をはるかに上回る48億1700万円だった。両者の差異は、5億200万円である。
この5億200万円の中身は何か?このお金はどこから調達されたのか、出所が分からない。
これらの金は、広告代理店を通じて、新聞広告やテレビCMの費用として新聞社やテレビ局に流れ込んでいる。
問題が発覚した発端は、博報堂と内閣府の間で交わされた契約書の年間契約額が約6700万円しかないのに、博報堂が20億円を超える新聞広告代金を請求していた事実が発覚したことである。次に示すのがその証拠だ。
■裏付けの証拠となる請求書と契約書PDF(27ページに契約額が明記されている)
◇新聞広告のケースを検証する
「平成27年度政府広報国内予算の執行状況」によると、内閣府が新聞広告として支払いを執行した額は23億6500万円である。
ところが新聞広告に対する請求を博報堂からの請求書も含め、全広告代理店からの請求書を合計したところ、内閣府の執行額は27億2204万円(ただし、博報堂のテレビCM分はまったく不明で含まれていない)。執行額を3億5700万円も上回っている。
差異にあたる3億5700万円の資金源が分からない。博報堂がこの3億5700万円を受領せずに、収入として計上していれば、粉飾決算である。受領していれば、出所不明な金を受けたことになる。
ひとつの可能性として考え得るのは、メディア対策の「機密費」からの支払いである。実際、博報堂が内閣府へ送った請求書は、発行日が空欄になっている。発行日を空欄にすることで、27年度の予算とは別の財源から、支払いを履行する計画が最初からあった可能性が高い。
◇元検事・松田昇氏の博報堂への天下り
冒頭で述べたように、こうした支払いパターンは、新聞広告を媒体とした支払いだけではなく、メディア全領域に及んでいる。繰り返しになるが、2015年度の支払い執行の総額が、43億1500万円しかないのに、請求額が48億1700万円となり、差異の5億200万円をどこか秘密の財源から調達したと考えなければ辻褄があわない。
ちなみに内閣府によると、博報堂は新聞広告の請求書を、年度末にまとめて送ってくるという。今年度も同社は広告を制作しているが、請求書は現段階では、1枚も到着していないという。
これはロッキード事件を上回る疑獄事件である可能性が高い。
博報堂に再就職(広義の天下り)している元最高検察庁の検事、田中角栄を追いつめた正義の味方、辣腕、松田昇氏の出番である。資料は、メディア黒書が提供する。