博報堂が内閣府に送付した請求書の解析、新聞広告に対する不可解な請求方法、年度末にまとめて請求、昨年は約20億円
筆者が内閣府に対して情報公開を請求していた資料が14日に開示された。
開示されたのは、博報堂が内閣府に対して送付した2016年度(16年4月から17年3月)の全請求書である。どのような広報活動に対して、どの程度の「税金」が使われているかを調査するのが、情報開示を求めた理由である。
今回、開示された請求書は5枚。タイトルは全て次のようになっている。
「モバイル携帯端末サイト等を活用した『官公庁専用ゲートアド』広告掲載料」
価格は、月によって若干の差があるが、約435万円である。この価格をどう解釈するかは別として、今回の情報公開請求については、次の重大な疑問点も指摘しておかなければならない。
◇不自然な請求書送付の時期
昨年、新聞広告に対する総請求額が20億円を超えていたので、筆者は、今年度の新聞広告に対する請求はないのかを尋ねてみた。結論を先に言えば、内閣府の回答は、今年度についても新聞広告は掲載しているが、新聞広告に対する請求書は年度末にまとめて送られてくるのが慣例になっている、というものだった。
たとえば今年の4月に1億円の新聞広告を掲載したとすれば、その請求書は、会計年度末に送られてくるのだという。従って2017年の3月か4月ごろに送付される。事実、今回開示された請求書の中に、新聞広告に対するものは1枚もなかった。
これは通常ではありえない経理処理である。普通の広告代理店は、契約した業務が完了すると、ただちに請求書を送付して、支払いを求める。3ヶ月も支払いがなければ催促する。こうして資金を回収するのだ。
ところが内閣府の新聞広告の場合、博報堂は広告を掲載しても、その請求書はずっと後になってから送付するのだ。請求書を受け取る内閣府にとっても、これは不合理な方法に違いない。請求書対象になっている新聞広告に実態があるかどうかを精査するためには、バックナンバーに照合する必要があるからだ。
内閣府と国会図書館は、徒歩10分だが、これはやっかいな作業だ。
こうした状況なので、2016年度の新聞広告に対する請求の実態を知るためには、2017年度になってから情報公開請求をする必要がある。今回の情報公開請求で、それを再確認することができた。
◇正規の会計システムではない
なぜ、博報堂がこのような不可解な請求方法を採用しているのかは不明だ。
ちなみに今回入手した請求書も、前年度と同様に発行日が空白になっている。請求書番号も入っていない。大企業の場合、見積書から請求書まで、共通の番号(コード)でコンピュータ管理するのが常識になっているが、博報堂が内閣府に送付した請求書は、そんなふうにはなっていない。おそらくエクセルでも作成できる。
前年度の新聞に対する請求が20億円を超えているわけだから、徹底した解明が必要だ。