週刊金曜日が博報堂の視聴率偽装を報道、経理システムにも疑問符
本日(23日)発売の『週刊金曜日』が「マスコミタブー 大手広告代理店・博報堂」(執筆者・黒薮)の第2回目の記事を掲載している。テレビCMなど放送番組の制作に際して、広告代理店が広告主に提示する番組提案書に記する視聴率を、博報堂が改ざんして放送枠を買い取らせていた問題などを取り上げている。
また、博報堂独特の会計にも言及している。週刊金曜日の目次は次の通りである。
◇驚くべき博報堂の経理実態
博報堂の経理について取材してみて、筆者は、ひとむかし前の八百屋と新聞販売店の会計を連想した。地方の町や村にある40年前の八百屋や新聞販売店の経理は、たいてい手書きだった。新聞販売店の場合、大学ノートに部数の増減などをメモしておく程度だったのだ。
博報堂の場合、ここまで大ざっぱではないにしろ、広告業界で第2位の地位を占めるブランド企業としては、恥ずかしい実態がある。たとえば業務の取り決めをする前に提出すべき見積書が、業務完了後の後付けになっており、しかも見積ナンバーが印字されていない。書式は、なんとエクセルのようだ。
経理システムにしろ、テレビCMの放送確認システムにしろ、ITの発展とともに不正防止策はどんどん進化している。進化にともない不正行為が介在する余地は減っているのだ。そしてコンピューターが逆に人間の不正を監視する時代が近づいているのである。
博報堂の見積書にナンバーが付番されていない事実について、大企業の会計システムに詳しいある専門家は次のようにコメントする。
「基本的には大手企業でこのずさんさはありえませんね。請求ナンバーと見積書のリレーションがなくても、番号がないというのは考えられませんし、そんなシステムは見たことがありません。経理などは全て入金管理を請求ナンバーで行います。見積書も同様にお客様とは番号でやり取りします。
商取引上、金額が入っている書類に番号がないのはシステムとして成立しません。注文書はありえますが、注文書は捺印があるので、複製ができません。
もちろん、手書きの見積書や請求書であれば別ですし、番号がないこともありえます。ただ、大手企業では考え難いですし、常識的にいってあり得ないですね」
◇業務の独占と不正
業務の進化という点について言えば、博報堂がアスカに提出していた番組提案書も問題がある。それは番組提案書に明記する視聴率の出典の表示方法である。
博報堂がアスカに提示していた番組提案書のうち、2008年よりも前の
ものについては、視聴率の出典が明記されていたが、その後、明記されなくなったのだ。この2008年という年は、博報堂がアスカのPR業務を独占した年である。それ以前は、電通と東急エィジェンシーと競合関係にあったのだが、これら2社を撤退させてPR業務を独占したのである。
ところがその後、番組提案書の放送枠に記される視聴率の出典が提示されなくなった。業務内容が進化するどころか、退化したのである。推測できる理由は簡単で、視聴率を偽装するようになり、出典が明かせなくなったのではないだろうか。
不正に走ったのは、競合相手がいなくなったからだろう。
筆者は、博報堂にPR業務を依頼している企業にアドバイスしたい。巧みに騙されていないか、経理帳簿を再点検するのが賢明だと。
長いあいだ、新聞広告(折込広告を含む)の広告主企業は、「押し紙」に騙され続けてきた。いまだに気づいていない企業も多い。同じ事が、実はテレビCMなどでも起きている可能性が否定できないのである。