1. 放送確認書の偽造疑惑についての元広告代理店社員の証言、「こんな放送確認書は見たことない」

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2016年08月26日 (金曜日)

放送確認書の偽造疑惑についての元広告代理店社員の証言、「こんな放送確認書は見たことない」

Mnetを運営する送局・CJE&MJapanの放送確認書が偽造された疑惑について、元広告代理店の社員の証言を入手した。

この証言は、放送確認書が何者かによって偽造されたと主張しているアスカが、元広告代理店の社員から聞き取り調査を行った際の議事録である。

しかし、議事録を紹介する前に、放送確認書の偽造疑惑について説明しておこう。

◇放送確認書の仕組み

放送確認書とは、CMが放送されたことを公式に証明する書面である。その最大の特徴は、10桁からなるCMコードにより、CMが放送されたか、それとも休止になったかを広告主に通知する仕組みである。放送確認書にCMコードが表示されていれば、CMが放送されたことの証明になる。これに対して、表示されていなければ、災害などなにか特別な事情で、CMが放送されなかったことになる。

広告主は、放送確認書上のCMコードの有無を確認することで、自社のCMが「間引き」されていないかを確認するのだ。

こうしたシステムを日本のテレビ界が導入したのは、1990年代の後半に福岡放送、北陸放送、それに静岡第一テレビでCM「間引き」が発覚したからである。広告主を保護するために、テレビ業界と広告業界が協同でCMコードを使ったシステムの導入を決めたのである。

CMコードの原理は、単純だ。制作されたCMに10桁のコードを付番して、それをコンピューターに入力する。そして実際にCMが放送されると、コンピュータがCMコードを放送確認書に表示するのだ。

10桁コードの番号を、コンピュータを駆使した金融システムになぞらえると、銀行口座番号やクレジットカード番号に該当する。銀行口座やクレジットカードに付番がなされていなければ、オンラインによる金融システムが機能しないのと同じ原理である。

驚くべきことに、博報堂とアスカの係争の中で、CMコードが不在になっているCMが、少なくとも1500本明らかになっている。当然、CM「間引き」の疑惑が浮上しているわけだが、最近になって、別の側面も新たに浮上してきたのだ。それが放送確認書そのものの偽造である。

疑惑がかかっているのは、Mnetを運営する放送局・CJE&MJapanの放送確認書である。

◇放送確認書偽造の根拠

まず、偽造疑惑のある放送確認書を示そう。赤の①~④は、便宜上、筆者が付番したものである。

「②」:住所を誤っている。この放送局の正しい住所は、「港区西新橋2-7-4」であるが、「西新橋」が欠落し、「港区2-7-4」と記している。もし、放送確認書をCJE&MJapanが作成したのであれば、住所を間違うはずがない。

「①④」:放送確認書の発行日は、2014年5月29日(①)になっている。
ところが「④」に表示されているCMの放送歴は、5月30日と5月31日になっている。これも「偽造」の過程で発生した「ミス」の可能性が高い。

「③」:放送確認書の書式としては、あり得ない書式が使われていることだ。放送確認書上にウィンドウズ貼付画面が確認できる。ウィンドウズ画面の右上には、常に、「-」「□」「×」のマークが表示されるが、上記の放送確認書にも、それが確認できる。

「※」: さらに10桁CMコードがどこにも確認できない。

以上の4点が、この放送確認書が偽造である強い疑いがかかっているゆえんである。この点について、メディア黒書から、CJE&MJapanに質問状を送付しているが、今のところ回答はない。

上記のような不備があるCJE&MJapanの放送確認書は、全部で5通ある。中には社印が押されていないものもある。

ちなみにCJE&MJapanが放送確認書を偽造したと言っているのではない。彼らが知らないところで、このような不正が起きていた可能性もあるのだ。

当然、その他、博報堂がかかわったCMで他の放送局名で発行されている放送確認書についても、偽造の有無を調査しなければならない。博報堂が参入する以前にアスカが取引をしていた電通、ADK、東急エージェンシーについては、このような疑わしい放送確認書は1枚もなかった。

◇元広告代理店のM氏の証言

この問題について、このたび広告代理店の営業マンM氏にアスカが聞き取りを行った際の議事録を入手した。議事録の全文を紹介しよう。
チャンネルMnetの放送確認書に関する広告代理店営業マンの証言

 平成28年8月16日(火)11:00~ アスカ第一応接室  
アスカ)早速ですが、この放送確認書を見てどう思われますか?

 代理店)これ・・・放送確認書ですか?(~じっと見て) 長年この仕事をしてきましたが、このような放送確認書は初めて見ました。

アスカ)どう思われたか、率直のご意見がお伺いしたいのですが・・

 代理店)いやっ、これはどう見ても放送確認書ではないでしょ? だってこれwindowsじゃないんですか?

 アスカ)そう見えますよね?

代理店私もこんな放送確認書は見たことないです。これは本当にこの局が発行したものなんですか?

 アスカ)わかりません。局も衛星放送協会も教えてくれないんです。

 代理店)あっ、そういうことですか・・ 私も正直言ってCSは余り詳しくないんです。CS番組の契約は基本東京にしかないから、東京で契約決まっちゃいますからね。しかし、これは凄いですね~これを放送確認書と言ってるんですね?

アスカ)この住所を見て下さい。実はこれ港区の後に西新橋が入るのが正規の住所なんですが、全部西新橋が抜けているんです。

代理店)本当ですね~凄いですね。テレビ局じゃなくても、自社が発行する書面で自社の住所が違う書面等、普通見たことありませんよ。逆にあります?

アスカ)いえ。ありません。

代理店)これ、局が発行した書類じゃないと思いますよ。

アスカ)では、下2行の番組を見て下さい。これは番組開始が5月30日になっていますが この放送確認書が発行された日は5月29日なんです。

代理店)本当だ。これは凄いですね。偽造じゃないですか。

アスカ)私達もそうだと思っています。

代理店)これは放送確認書にならんですよ。これを局が私達が発行したものですと言ったらそれも凄いですけどね(笑)

アスカ)これも見て下さい。これは印鑑がないんです。

代理店)本当だ。凄い・・・笑うしかないですね、これは・・・(笑)

 アスカ)チャンネルMnetは放送確認書が提出されていない月も発覚しているんです。

 代理店)はぁ~

 アスカ)このメールも見て下さい。3月の放送確認書がまだ届かないと当社から5月27日に問合わせ掛けて、5月28日に博報堂からメールで「現在局に取り寄せ中」で回答されているんです。

代理店)いやっ、ありえませんね。そんなに日にちがかかる訳がない。一般的に地上波だったら翌月10日にはテレビ局から代理店に届きますよ。まぁ何だかんだあったとしても、翌月末にはスポンサーに渡さないとなりませんからね。末締めの翌末でお支払いいただくスポンサーだってありますから。 放送した証拠はテレビ局の放送確認書しかありませんからね。

 アスカ)ですよね。でも当社はこんな状況なんです。

代理店)これはどう考えてもCS局がいい加減なのではなく、博報堂がいい加減なんじゃないんですか?私はこんな対応をしたことはないし、こんなことやっていたら一発で取引切られちゃいますよ。このメールは多分嘘ですよ。

アスカ)そうなんですか。

代理店)当たり前です。だから私達は、放送が中止や変更があれば、必ず局から書面を取って、「この日の番組が変更になりますがこのような対応でよろしいか?」とスポンサーの了解をとるのに必死でしたよ。 タイムの場合は値引、スポットの場合は後日差替えが基本の提案でしたけどね。でも、差し替えた番組がスポンサーからこの番組はダメだと言われることだってある。私の言葉だけでは信用がないから、テレビ局の書面は絶対に必要なんです。

だから、震災等のイレギュラーケースはテレビ局も代理店もてんてこ舞いになるんです。

博報堂はアスカさんから絶対の信用があったから、何にもしていないんだと思いますよ。

アスカ)そのように思われるんですね。

代理店)はい。多分間違いないと思います。こんな放送確認書を平気で出せるというのはそういうことでしょう。

日付がおかしいとか、印鑑がないとか、届かない等がもし発生した場合、それは私の仕事ですからね。 とはいうもののそんな局は過去に存在しませんが・・・・

アスカ)なるほど。代理店の仕事なんですね。

代理店)そうです。でなかったら何の代理店ですか?

アスカ)おっしゃる通りですね。

代理店)博報堂クラスの大手であれば、何でも罷り通るものかも知れませんが。この放送確認書は局が発行したものではないと思います。局は答えてくれないんですか?

アスカ)はい。局の契約者は博報堂DYだからが理由です。

代理店)そうですか・・・そういうところは博報堂は強いですからね。              
アスカ)そんなんですか?

代理店)そんなもんなんです。我々では全く太刀打ちできませんから。電通と博報堂は他の広告代理店とは別格ですよ。テレビ局黙らせるぐらい平気でできると思いますね。

アスカ)「正規の放送確認書」ではないことを証明したいんですが。

代理店)そうですよね。私はあんまりCS局は知らないしなぁ。東京に聞かないと地方の営業マンは知らないと思うんですよね。契約は東京ですから。

アスカ)私はチャンネルMnetの正規の放送確認書はこれだという事実だけを確認したいだけなんです。

代理店)わかりました。知人に聞くだけ聞いてみましょう。

アスカ)有難うございます。

代理店これコピー頂いてもいいですか?  

アスカ)ファイルにまとめましたのでファイルごとお持ち下さい。

代理店)韓国ドラマでしょ?誰も売りそうにないよなぁ。ちょっと特殊なクライアントになりそうですね。

アスカ)そうですね。お手数掛けますが・・

代理店)正直、難しいと思いますので余り期待はされないで下さい。自信はないです。

アスカ)かしこまりました。それでも宜しくお願いします。

代理店)わかりました。