1. 自民党は偽装部数問題を把握しているはず 汚点を逆手に取るメディアコントロール

新聞業界の政界工作に関連する記事

2013年04月18日 (木曜日)

自民党は偽装部数問題を把握しているはず 汚点を逆手に取るメディアコントロール

自民党は、「押し紙」問題を把握している可能性が高い。その根拠になるのが自民党新聞販売懇話会の存在である。この団体は新聞業界の陳情窓口になってきた経緯があり、日販協(日本新聞販売協会)と極めて親密な関係にある。

一部の議員は日販協の政治連盟から献金を受けている。たとえば高市早苗政調会長は2011年度と2010年度に総額で120万円の政治献金を受けた。

日販協は1990年代の初頭までは、熱心に「残紙」問題に取り組んできた。会員が全国の新聞販売店主である関係上、この問題を避けて通れない事情があった。

実際、1977年には全国規模で「残紙」調査を実施した。その後も、新聞社に対して新聞販売業務の正常化をはかるように繰り返し申し入れている。こうした動きを自民党議員は日販協を通じて把握しているはずだ。

ちなみに1993年の時点で、自民党新聞懇話会のメンバーは約50名だった。この中には、小泉純一郎、小渕恵三、羽田孜、森善郎の首相経験者も含まれている。このうち小渕元首相は、首相に就任した時点で自民党新聞懇話会の会長を務めていた。

一方、自民党以外の議員は、偽装部数問題を把握しているのだろうか。わたしは若手の議員はともかくとして、ベテラン議員はある程度まで実態を知っていると推測している。

と、言うのも1981年から85年の5年間で、計16回にわたって共産党、公明党、社会党が新聞販売問題に関する国会質問を行っているからだ。当然、その中で偽装部数問題も取り上げられた。

こんなふうに考えると日本の政党は、偽装部数問題を知っている可能性が高い。しかし、誰もこの問題にタッチしようとはしない。その理由は簡単で、 下手にこの問題で騒ぐと、紙面でバッシングされる危険性があるからだ。さらに偽装部数という汚点を逆手に取れば、新聞を自らの陣営に引き込むことができるかだ。

一方、新聞社の側は政界とより親密な関係を構築することで生き延びる以外に選択肢がない。そこまで日本の新聞社は衰弱している。