1. 「読売新聞をぜひ熟読して」、新聞社が政府の広報部になった背景に絶望的な政界工作、事実を示す生資料を公開!

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2017年05月11日 (木曜日)

「読売新聞をぜひ熟読して」、新聞社が政府の広報部になった背景に絶望的な政界工作、事実を示す生資料を公開!

安倍首相の国会答弁が失笑をかっている。憲法改正の考え問われて、

  「読売新聞をぜひ熟読して」

と、答弁したのだ。

政界と新聞業界の関係は古くて新しい。手短に歴史を振り返ってみよう。

次に紹介する資料については、何度か単行本などで内容を紹介したが、生資料をインターネットで公開するのは今回がはじめてだ。

資料のタイトルは、「第四十回 通常総会資料」。1991年7月26日に日販協(日本新聞販売協会)が東京の如水会館で開いた通常総会の資料である。

この中に当時、新聞関係者の政界工作の受け皿になっていた自民党議員の一覧表が出ている。有力な議員が続々と名前を連ねている。小泉、小沢、森、石原・・・・。議員一覧(自民党新聞販売懇話会)は次の通りである。

■議員一覧

新聞関係者が本格的に政界工作に乗りだしたのは、1980年代の後半である。当時、新聞販売店に対する事業税の軽減措置が取られていた。しかし、これを廃止する政策が打ち出されていた。そこで金銭がらみの政界工作により、延長させていたのである。

新聞販売店から政治献金を募り、それを自民党新聞販売懇話会の議員に献金していた。

1990年代に入ると政界工作のテーマは、再販制度の維持に変わった。再販制度がなくなると、おなじ系統の新聞販売店のあいだで競争がはじまり、有力な販売店が台頭する。それは新聞社と販売店の縦の関係を崩壊させる。販売店のコントロールが難しくなる。

そして現在は、新聞に対する消費税の軽減税率適用を求める政界工作が続いている。新聞関係者は、2015年に税率8%の据え置きを勝ち取った。しかし、それに満足せず、現在は5%への軽減を求めている。

「押し紙」にも消費税がかかるからだ。しかも、「押し紙」には読者がいないので、消費税を販売店が負担することになるからだ。

現在、新聞販売懇話会に属する議員数は不明だが、2006年頃は、少なくとも100名を超えていた。山本一太議員や高市早苗議員が中心だった。

◇政府広報であることが発覚

しかし、政界工作とジャーナリズムは共存できない。こんな事は常識中の常識だが、日本では問題になってこなかった。お金がからんだ工作であるにもかかわらず誰も指摘しない。

「押し紙」問題にメスが入らないのも、新聞関係者が政治献金を通じて政界との「良好」な関係を構築しているからにほかならない。逆説的に考えれば、政界は新聞社の弱点を巧みに握ることで、新聞・テレビをコントロールしているのだ。

しかし、大半の新聞が、「政府広報」であることが発覚し始めている。国会の答弁で、首相が堂々と「読売新聞をぜひ熟読して」という段階にまでなっているのだ。

【写真】正力松太郎(元読売新聞社長、特高警察の出身で元A級戦犯容疑者)