1. 8月のABC部数、朝日も読売も微減、朝日の「誤報」と部数変動は無関係、前年同月比は読売が-61万部、朝日が-30万部

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2014年09月29日 (月曜日)

8月のABC部数、朝日も読売も微減、朝日の「誤報」と部数変動は無関係、前年同月比は読売が-61万部、朝日が-30万部

日本ABC協会が公表した8月のABC部数によると、朝日新聞と読売新聞の8月の新聞部数の変動は、ほとんど変わらないことが分かった。両者の部数比較は次の通りである。

【8月の朝刊】
朝日:7,252,277部
読売:9,233,844部

【対前月差】
朝日:-14,589部
読売:-14,602部

【対前年同月比】
朝日:-303,582部
読売:-612,990部

【8月の夕刊】
朝日:2,360,526部
読売:3,079,110部

【対前月比】
朝日:-78,710部(販売店:-78,014部)
読売:-22,104部(販売店:-20,583部)

【対前年同月比】
朝日:-370,948部
読売:-273,575部

■全国の新聞の部数変動PDF

これらの数字から、従軍慰安婦問題の「誤報」で、朝日が部数を減らしているという週刊誌や月刊誌の報道が間違いであることが分かる。以下、解説である。

◇朝刊と夕刊の関係

まず、朝刊は、朝日も読売も前月に比べて約1万4000部減っている。朝日だけが、減っているわけではない。逆に朝日は、大阪本社と西部本社などでは部数を増やしている。

興味深いのは、夕刊の部数変動である。朝日は、確かに約8万部と大幅に部数を減らしているが、その大半は、キオスクなどで行われる直売ではなくて、販売店が扱っている部数である。つまり朝夕刊のセット版を購読していた人が、朝刊だけの購読に切り替えたことを意味している。朝日の購読を中止したということではない。

原因は、読者が慰安婦報道や原発報道の「誤報」に怒ったことではなくて、お金を節約するためだった可能性が高い。怒りが原因であれば、購読を完全に中止するからだ。主要な情報がある朝刊は、購読し続けているのである。

ちなみに夕刊をサービス(無料)した場合は、部数減を招かない。

◇部数減の原因はインターネットへの移行

ただ、ABC部数に「押し紙」が含まれていることも事実である。新聞社が印刷部数を申告する方式で部数を集計するので、ABC部数が販売部数を正確に反映していない可能性もある。

しかし、新聞各社の部数動向のおおまかな傾向を把握する目安にはなる。

こうした観点からABC部数を解析すると、新聞業界全体が部数減を招いているのが実情で、朝日だけが「誤報」で著しく部数を減らしたとする週刊誌や月刊誌の解釈は間違っている。事実認識の誤りである。

わたしは新聞社の主張と部数の変動はあまり関係がないと見ている。部数減の原因は極めて単純で、紙媒体からインターネットへの移行の結果であると考えている。時代の流れである。