1. 読売の部数が10カ月で約77万4000部減、「数字で見る読売新聞」には10,007,440部と表示、部数減は朝日の比ではない

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2014年09月23日 (火曜日)

読売の部数が10カ月で約77万4000部減、「数字で見る読売新聞」には10,007,440部と表示、部数減は朝日の比ではない

読売新聞のウエブサイトにある「数字で見る読売新聞」によると、同社の発行部数は、2014年9月23日の時点で、10,007,440部となっている。そしてこの数字を誇り、他紙に対する競争心を露呈させて、次のように述べている。

読売新聞は、イギリスの「ギネスブック」が認定した世界一の発行部数を誇り、日本を代表する高級紙です。 発行部数監査機関である日本ABC協会の報告では、2013年11月の朝刊部数は全国で1000万7440部で、全国紙第2位の新聞に約247万部、第3位紙に約667万部という大差をつけています。

■出典:「数字で見る読売新聞」PDF

■出典:「数字で見る読売新聞」

読売自身が文中で記しているように、この「10,007,440部」という数字は、2013年11月時点のものである。つまり10カ月前の数字を現在も表示し続けているのだ。

◇読売の現在のABC部数

一方、同じ読売のウエブサイト「読売新聞広告ガイド」によると、2014年8月時点の数字は、9,233,844部である。

■「読売新聞広告ガイド」

読売がウエブサイトで表示している2つの数字の差異は、なんと約77万4000部にもなる。これはもはや些細な誤差のレベルではない。産経新聞・東京本社の発行部数が約71万部なのだが、ほぼこれに匹敵する。ゆうに新聞社1社分の誤差があるのだ。

あるいは、東京新聞の約52万部と神奈川新聞の20万部を合計した数字に等しい。

いずれにしても読売は、1年たらずの間に膨大な数の読者を失っているのである。朝日新聞の比ではない。

巨大な事業規模を誇る読売が、スタッフの不足が原因で、「10,007,440部」という数字を改める作業を行う余裕がないとは考えられない。いまだに「読売1000万部」の看板にこだわっている証ではないだろうか。

このようなインターネット上の表示で最も害毒を及ぼすのは、広告主が広告戦略の判断を誤るリスクが生まれることである。確かに「読売新聞広告ガイド」には、最新の部数を表示しているが、広告主のすべてが、この案内を見るとは限らない。「10,007,440部」という数字を鵜呑みにして、広告主が紙面広告や折込広告を発注した場合、表示された数字と実配(売)部数がかい離しているために、PR戦略を完全に誤る可能性もある。

改めて言うまでもなく、新聞ジャーナリズムの価値は、印刷部数の大小ではなくて、紙面の質で決まる。まして景品を使った新聞拡販は、紙面の評価と発行部数の関係をあいまいにする意味において、ジャーナリズムにはふさわしくない。紙面の質だけで勝負するのが高級紙の条件である。

【注】ABC部数には、「押し紙」が含まれており、必ずしも実配(売)部数を正しく反映しているとは限らない。新聞社が数字を自己申告して、ABC協会が抜き打ち的に、監査しているに過ぎない。