1. 3月から4月にかけて読売の読者が一気に20万人減、産経新聞は8万人増

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2014年06月02日 (月曜日)

3月から4月にかけて読売の読者が一気に20万人減、産経新聞は8万人増

2014年3月から4月にかけて、読売新聞のABC部数が一気に20万5651部減っていることが分かった。日本ABC協会が定期的に公表している月ごとのABC部数(5月発表)により判明した。

また、朝日新聞は、8897部減った。これに対して、毎日新聞は3万3316部増えている。産経新聞も、8万6801部増えた。

読売と朝日の減部数は、4月1日から消費税が3%引き上げられ、8%になった影響である可能性が高い。毎日と産経がそれぞれ大幅に増部数になった原因は不明だが、ABC部数は新聞の印刷部数なので、配達されていない部数である可能性もある。

新聞業界では、昔から「押し紙」が問題になってきたが、読売に対しては、裁判所が、1部も「押し紙」は存在しないという認定を行っている。従って読売の約20万部の減部数は、1カ月で20万人もの読者が読売新聞に見切りをつけたことを物語っている。

◇朝日「実配部数増にこだわっていく」 ?

新聞の実配部数が不透明なことは周知の事実になっている。その根本的な原因は、新聞拡販の方法にある。景品をばらまいて、契約を取り付ける慣行の中で、過去には、拡販員が勧誘相手に暴力を振るう事件も相次いでいる。

部数を増やすことでABC部数をアップして、紙面広告の媒体価値を高め、広告収入を増やすビジネスモデルが、販売現場に部数至上主義をはびこらせてきたのである。実配部数を偽装してでも、ABC部数をかさ上げする慣行が、なかばあたりまえになってきたのだ。

5月21日付けの『新聞情報』に、興味深い記事が掲載された。タイトルは、「販売の構造改革へ軸足を移し実配部数増にこだわっていく」「首都圏第4部連合朝日会」「小林局長が呼びかけ」。

勘のいい読者は、「実配部数増にこだわっていく」という箇所で、苦笑したに違いない。周知のように、「実配部数」とは、実際に配達されている部数である。あえて「実配部数」にこだわると宣言した背景には、これまで「実配部数」とは別の部数??すなわちABC部数=偽装部数をベースに拡販競争を展開してきたことを意味しないだろうか。

その慣行を破って、これからは実配部数で他社と競争するというのだ。

ABC部数をかさあげして、紙面広告の収入を増やす従来のビジネスモデルがもやは通用しなくなってきたのである。新聞没落は、秒読み段階に入った。

ちなみに新聞社の屋台骨である販売現場に商取引の汚点があるということは、警察や公正取引委員会が、合法的に新聞社経営に介入できることを意味する。つまり「役所」に弱みを握られている証である。新聞が「政府広報」として、世論誘導に貢献せざるをえないゆえんだ。紙の新聞のジャーナリズム性が極端に低下した原因にほかならない。