滋賀医科大の小線源治療をめぐる事件、朝日放送が報道、文書偽造で河内明宏教授を刑事告訴
大阪朝日放送が、10日、「医師の任期切れ問題に揺れる滋賀医大病院 『推薦書偽造』で教授を刑事告訴へ」というニュースを放送した。問題となっている文書は、4月から滋賀医科大で岡本圭生医師とは別枠で小線源治療の外来を始めた成田充弘医師の職域・所属に関するもの。
■医師の任期切れ問題に揺れる滋賀医大病院 「推薦書偽造」で教授を刑事告訴へ
滋賀医科大では、2015年1月から岡本圭生医師が特任教授を務める小線源治療学講座がスタートした。開設時は、岡本特任教授と泌尿器科の河内明宏兼任教授の体制だった。河内教授の部下にあたる成田医師の名前はなかった。
ところが成田医師の小線源治療学講座兼任を承認する文書の存在が明らかになったのだ。そこには、岡本医師の名前が記され、三文判が押されていた。しかし、岡本医師は、成田准教授の兼任を認めたことはなかった。書類も見たことがなかった。
そこでこの文書を作成した河内医師を岡本医師が文書偽造で大津警察署へ刑事告訴したのである。
本日(5月2日)、18:15分から大阪朝日放送が滋賀医科大の小線源治療をめぐる事件を報道
本日(5月2日)の午後6時15分から、大阪朝日放送が「キャスト」で、滋賀医科大の小線源治療をめぐる事件について報じる。
小線源治療とは、放射線を放つ小さなシード線源を前立腺に埋め込んで、そこから放射線でがん細胞を破壊する療法である。小線源治療そのものは、滋賀医科大病院とは別の医療機関でも実施されているが、同病院の岡本メソッドの特徴は、高い線量でがん細胞を完全に死滅させながらも、前立腺周辺の臓器は放射線被ばくを回避できるというものである。
5年後の非再発率は、低リスクで98.3%、中リスクで96.9%、高リスクでも96.3%である。これに対して一般的な小線源治療、ダビンチ手術、それに外部照射治療では、非再発率は40%から70%にとどまる。岡本メソッドは、がんが転移さえしていなければ、高リスクのがんでも、浸潤したがんでもほぼ100%完治させることができる。その治療技術は海外でも高い評価を受けており、ラジオNIKKEIは、岡本医師に対する2回シリーズのインタビューを放送している。
ところが滋賀医科大の泌尿器科の河内明宏教授と成田充弘準教授が、岡本医師とは別に小線源治療の窓口を設定。岡本メソッドを受けることを前提に来院した患者の一部を泌尿器科に誘導して、充分な説明をしないまま手術前段の治療に入った。しかし、医師らが小線源治療の未経験者だったことが原因で、適正な治療ができなかった。手術も阻止された。
事情を知った被害患者らは、病院に対して抗議の声をあげはじめた。これに対抗するかのように、大学病院は岡本医師を追放しようとしている。
この事件については、次のウエブサイトで筆者が詳しくレポートしている。
【マイニュースジャパン】
■滋賀医科大学医学部付属病院で発覚した患者モルモット未遂事件――患者を守るために体を張ったスーパードクターに対する組織的報復
■滋賀医科大病院の小線源治療をめぐる不正隠蔽事件 患者らが「治療妨害禁止」を求め仮処分申し立て、病院側は1千人のカルテ不正閲覧
【ビジネスジャーナル】
朝日放送による「番組の中止→料金請求」問題で放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立て、
BPO (放送倫理・番組向上機構)に対して筆者は次の申し立てを行った。
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番組名:噂のお買い得セレクション
放送局名:朝日放送
放送日:2011年3月15日
放送時間:27:42~28:12
続きは、次のPDFで。
ここで示した「噂のお買い得セレクション」をめぐる問題は、筆者が取材しているテレビ関連の事件の一部に過ぎない。氷山の一角だ。視聴率の偽造やCMの「間引き」疑惑なども発覚している。
博報堂の事件は、日本の放送界を舞台とする前代未聞の経済事件の様相が強い。テレビ界の在り方が根底から問われているのである。ある意味では、新聞社の部数偽装問題よりも深刻だ。テレビは圧倒的な影響力を持つからだ。
それが後述するように、関係者の極端な「拒否反応」を生んでいる原因かも知れない。
◇PDFへリンクした理由
ちなみに、BPOがウェブサイト上に準備している申し立てのメールフォームは、500文字以内に制限されている。そのために申し立ての内容を説明するには無理があった。そこで説明と証拠の部分をPDFへのリンクにしたのだ。
一体、BPOの本部は、500文字内で視聴者が十分に意見を表明できるとでも思っているのか、初歩的な疑問もある。
とはいえ、BPO (放送倫理・番組向上機構)といえば、NHKの『クローズアップ現代』で放送された「追跡"出家詐欺"~狙われる宗教法人~」(2014年5月14日)のヤラセ疑惑に対して放送倫理の問題を指摘するなど、放送界の監視役のような印象がある。
2003年に日本テレビで起きた視聴率操作事件では、再発防止を呼びかける声明を出した。そこでは日本テレビを指して、
テレビ局のプロデューサーが担当番組の視聴率を上げるために、制作費を使って視聴率調査対象者に金品を贈るようなことは、放送・広告関係者だけでなく、視聴者や社会を欺く背信行為と言わなければならない。
と、厳しく批判している。声明には次の3氏が名前を連ねている。
放送と人権等権利に関する委員会委員長:飽戸弘
放送と青少年に関する委員会委員長:原寿 雄
放送番組委員会委員長:木村尚三郎
◇不誠実なBPO本部の対応
当然、視聴率やCM間引きの問題にも関心があるものと筆者は思っていた。そこで今回の申し立てに先立って、事務局に問い合わせたが、取材にはまったく応じる気配がなかった。正直、ひどく横柄な対応に感じられた。取材を断るにしても、最低の礼節をわきまえるべきだと思うのだが、横柄さは「拒否反応」の影響なのかも知れない。
次に紹介するのは、電話会話の録音を文字化し、整理したものである。公表に際しては、相手の承諾を受けている。読者には、内容そのものに論理が欠落して、話が噛み合っていない部分があることを読み取ってほしい。
最初に電話対応した女性に、事情を説明した後、電話を代った男性との会話である。
BPO: 広報、吉田(仮名)と言いますが。
黒薮:ちょっとお尋ねしますが。
BPO: 取材ですか?
黒薮:そうです。
BPO: BPOは取材には応じていないんです。と、いうのは委員会が決めることでございますから。委員会は月に1回しか開かれないものですから。
黒薮:取材に応じないということでよろしいですか?
BPO: はい。
黒薮:全然、この問題に関しては、関知しないということですね。
BPO: この問題といいますと。
黒薮:視聴率の偽装問題とCMの「とばし」、いわゆる放送せずに・・・
BPO:委員会が決めることですので、委員会が決めたらホームページ上に載せる、審理入りした場合はちゃんと、検証委員会では取材に応じていますし。
黒薮:どういう手続きを踏めばいいわけですか。
BPO:手続きですか?検証委員会であれば、委員会ですから、開いてみないと分からないんですよ、中身は。
黒薮:ええ、ですから外部から問い合わせをしているわけです。
BPO:だから取材には応じていないんです。
黒薮:応じていないということでいいんですか。
BPO:ホームページをご覧いただいて、委員会が今、どういうことをやっているか、
黒薮:日テレの視聴率の問題で前に声明をだされましたよね、
(沈黙)出されましたよね。
BPO:はい。(沈黙)ええっとね。ホームページ上で公表していれば、出してます。
黒薮:こうしたことは防止するということで、出されたのではありませんか? なぜ、今回に関しては、
BPO:委員会が決めることですんで。
黒薮:いつ開かれますか?
BPO:BPOのホームページをご覧にいただければ分かると思います。
黒薮:じゃあ、今話されたとおりに出しますので。それで結構ですか。
BPO:かまいません
黒薮:分かりました
BPOもジャーナリズムの関係機関なのである。それがこの対応では、絶望的だ。放送界の問題には、新聞業界の「押し紙」と同じく、なかなかメスが入らない可能性もある。