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2017年02月11日 (土曜日)

日本人の3%~5・7%が電磁波過敏症、早稲田大学応用脳科学研究所「生活環境と健康研究会」が公表

2月7日付け京都新聞が、電磁波過敏症について、早稲田大学応用脳科学研究所「生活環境と健康研究会」が公表した結果を紹介している。それによると電磁波過敏症の有症率は、日本人の場合3%から5.7%である。

この数字は、10万人の都市であれば、3000人から5700人に相当する。100万人の都市であれば、3万人から5万7000人である。想像以上に大きな数字だ。かなり多くのひとが電磁波過敏症になっている可能性を示唆している。

症状は多種多様で、京都新聞が紹介しているものは、極度の疲労、集中困難、憂鬱、発疹、頭痛、耳鳴り、などである。

■京都新聞の記事 

電磁波が人体に及ぼす影響は、まだ完全には解明されていない。電磁波の危険性がクローズアップされたのは、1980年代に入ってからで、もちろんそれ以前からリスクを指摘する研究結果はあったが、社会問題になったのは、欧米で小児白血病と電磁波(超低周波)の関係が疫学調査で明らかになってからである。

その後、携帯電話の電磁波(マイクロ波)の危険性も指摘されるようになった。そして現在では、電磁波は放射線の仲間であり、エネルギーの低いものから、高いものまで、人体に負の影響を及ぼすという見解がほぼ常識として定着している。原発の放射線とおなじ線上で考えられているのである。

それを認めていないのは、日本の総務省ぐらいである。

電磁波に対する日本と欧米の考え方の違いは、携帯電話の通信に使われる電磁波(マイクロ波)の規制値や提言値の違いに典型的に現れている。次の数値をご覧いただきたい。

日本:1000 μW/c㎡ (マイクロワット・パー・ 平方センチメートル)

欧州評議会:0.1μW/c㎡、(勧告値)

ザルツブルグ市:0.0001μW/c㎡(目標)

筆者は、時々、電車の中で、電磁波(マイクロ波)の測定をするが、EUの規制値の50倍から100倍ぐらいの数値になっていることがよくある。毎日、通勤電車に乗るだけで、電磁波過敏症を発症するリスクが高まるのだ。相対的に癌が増えているのも、ひとつには電磁波に被曝する機会が増えてるからではないか。

以下、マイクロ波のリスクについて説明した。メディア黒書で既報した記述の再録である。

◇電磁波とはなにか?

そもそも電磁波とは何だろうか。最低限必要な範囲で、電磁波の正体を説明しておこう。

電磁波の「電」とは電気のことである。その電気が空間に放たれたものが電波である。しかし、電気や電波には、その影響が及ぶ領域がある。炎に手を近づけていくと、熱を感じる領域があるように、電気や電波にも、影響が及ぶ範囲がある。この領域を「電場」という。

電波は、われわれの生活に利便性をもたらした。携帯電話やスマホはその典型と言えよう。通信の革命と言っても過言ではない。が、その背景にある負の側面、あるいは「闇」の部分は、マスコミによってすっかり隠されている。

マスコミの大口広告主である電気・通信業界の権益がからんでいるからである。

電波による交信で絶対に欠くことができないものがある。それはアンテナである。電波はアンテナから発せられ、アンテナで受け止められる。それゆえに携帯電話の普及には、携帯基地局の設置が絶対的に必要になるのだが、この基地局が住民と電話会社のトラブルのもとになっているのだ。

次に電磁波の「磁」について考えてみよう。「磁」は何を意味するのだろうか。「磁」とは磁気、あるいは磁場を意味する。磁石が鉄を引き寄せることは周知であるが、その際に働く吸引力が「磁気」で、磁気が及ぶ範囲のことを「磁場」という。

電流が流れると、その周りには「電(場)」と「磁(場)」が発生する。電磁波とは、電気によって生じる「電場」と「磁場」を伴った波のことである。電波の形状と性質をより厳密に描写した言葉ということになる。

ちなみに単純に電磁波=電波と理解しても許容範囲である。枝葉末節にこだわりすぎて、物事を複雑に解釈すると、かえって電磁波問題を理解する妨げになりかねない。

電磁波問題とは、人体が電磁波(電波)を被曝し続けたときに生じる被害を公害の観点から指摘することである。広義に捉えれば、電磁波による人体影響だけではなく、生態系への影響も電磁波問題の範疇に入る。

電磁波問題の検証作業には1年、2年、あるいは5年、20年という長い歳月を要する。短期間の電磁波被曝では影響が現れなくても、長期にわたる被曝により影響が現れる場合もあるからだ。携帯電話の普及が始まったのち、長い歳月を経て、ようやく基地局の危険性が指摘されるようになったのも、安全性の検証には、長期の被曝による人体影響を調べる必要があったからである。

電磁波はエネルギーが低いものでは、家電機器などから漏れる「低周波電磁波」がある。また高いものでは、レントゲンのエックス線や原発のガンマ線など、さまざまな種類がある。従来は、ガンマ線やエックス線などエネルギーが高いものについては、遺伝子に対する毒性があると考えられてきたが、既に述べたように、最近では全ての電磁波に毒性があるという見解が主流になってきた。

このあたりの事情について、電磁波研究の第一人者である荻野晃也氏は、『携帯電話基地局の真実』の中で次のように述べている。

これらの電磁波のうちで、原爆の被爆者・被曝者などの研究から、「電離放射線(黒薮注:電離放射線とは、ガンマ線やX線を指す。詳しくは後述する。)が特に発癌の危険性が高い」と思われてきたのです。ところが、最近の研究の進展で「電磁波全体が危険な可能性」があり、「共通した遺伝的毒性を示す」と考えられるようになってきたのが、現在の「電磁波問題」の本質だといってよいでしょう。

また、北里大学の名誉教授・宮田幹夫氏らがまとめた『生体と電磁波』にも、次のような記述がある。

エックス線もガンマ線も電磁波である。人工の電磁波に比べてエネルギーが非常に大きいため、物質への浸透性が強く、生体へのダメージも非常に大きい。しかし、極低周波から超高周波まで、人工電磁波も生体へのダメージは大きく、身近にある場合は障害を生じる。放射線と電磁波はメカニズムが異なるが、同じように体内にフリーラジカルを生産し、DNAを破損してがんの原因を作る点では、同じような環境汚染源としてみることができる。

広島と長崎に投下された原爆の影響で、癌や白血病が増えたこともあって、かねてからガンマ線と癌の関係は定説となってきたが、実はマイクロ波など他の種類の電磁波でも、遺伝子に対する見解が変化してきたのである。

◇電磁波の分類

既に述べたように電磁波には、ガンマ線、X線、マイクロ波など様々な種類があるが、これらは何を基準に分類されているのだろうか。結論を先に言えば、それは電波の波打ちの頻度である。1秒間に打つ波の頻度、つまり周波数の違いにより、電磁波は分類され、ヘルツという単位で分類される。

波打ちの頻度が多ければ多いほど、周波数が高いことになる。少なければ少ないほど周波数が低いことになる。

たとえば電力会社が供給する電気の周波数は、東日本で50ヘルツ(一秒に50回)、西日本では60ヘルツ(一秒に60回)である。一方、携帯電話(第3世代)の周波数は、2000MHz(メガヘルツ)である。これは一秒間に20億回の波打ちが発生することを意味している。この領域の電磁波は、マイクロ波という呼び方で分類されている。

さらにガンマ線の周波数は、「10の19乗」から「23乗ヘルツ」にもなる。

従来から、ガンマ線やX線など極めて周波数の高い電磁波は、電離放射線と呼ばれている。「エネルギーが高く、分子や原子を構成する電子を『バラバラに離してしまう(「電離」といいます)』」(荻野晃也著、『携帯電話基地局の真実』)電離作用を伴うからだ。それが遺伝子を傷つけたりする。

これに対して、赤外線、マイクロ波、低周波電磁波など、ガンマ線やX線に比べるとはるかにエネルギーが低い電磁波は、電離作用を伴わないので非電離放射線と呼ばれる。

現在、電離放射線に遺伝子に対する毒性があることを否定する研究者はいない。それはすでに定説となっている。

これに対してマイクロ波など非電離放射線の毒性については論争がある。既に述べたように、すべての種類の電磁波が人体に悪影響を及ぼすという考えが有力になってきたものの、現在の時点では論争に決着が着いているわけではない。

従って「予防原則」に基づいて、危険性を想定した対策を取っておかなければ、後に、取り返しがつかない悲劇を生む可能性がある。

次に示すのが電磁波の分類図である。


◇携帯電話の電磁波(マイクロ波)

携帯電話に使われているのは、マイクロ波と呼ばれる領域の電磁波である。たとえば広く普及している第3世代携帯電話の周波数は、2000メガヘルツである。これは1秒間に20億回の周波が観測されることを意味する。電子レンジは、約25億回。とてつもない波の動きが熱エネルギーを発生させる。

こうした高周波の電磁波を携帯電話の受話器から直接に、あるいは携帯基地局の周辺で長期に渡って浴び続けたとき、人体影響が生じるリスクがないのかを考えるのが、俗にいう携帯電話の電磁波問題である。従って、パナウエーブ(白装束集団)の考えとはまったく性格が異なる科学である。

当然、長期にわたる科学的な観測が不可欠になる。たとえば10歳でスマホを使い始めた子供が、30歳になったとき、あるいは40歳に、さらには老齢に達したとき、電磁波被曝による負の影響を受けていないか、というような長期の問題なのだ。

◇安全基準

長期にわたる被曝を前提としているのか、電磁波問題に敏感な欧米では、地方自治体が独自に電磁波強度の基準を設定している。そのうちのいくつかを、日本の総務省が定めている基準値と比較してみよう。対象は1800メガヘルツの基地局である。

日本:1000μW/cm2

イタリア:10μW/cm2

スイス:6.6μW/cm2

欧州評議会:0.1μW/cm2(勧告値)

ザルツブルグ市:0.0001W/cm2(室内目標値)

この数値を見ただけで、総務省がいかに電話会社のビジネスに貢献しているかが明らかになる。数値の大きな差異から異常な実態と言っても過言ではない。ちなみにザルツブルグ市の値でも、通信は可能だ。

◇携帯電話基地局の周辺で奇形

携帯電話の基地局が設置された後、直近の場所に次々と奇形植物が出現したという報告が複数ある。

そのうち筆者が直接取材した長野県木曽町で撮影した写真(奇形のヒマワリ=地元住民が撮影。奇形のナスビ=黒薮が撮影)ものを紹介しよう。

電柱の上に基地局を設置した後、設置場所の畑や近くの民家の庭で奇形植物が表れた。同じ現象が毎年続き、基地局が撤去された後、出現しなくなったので、原因が基地局のマイクロ波だった可能性が高い。

 

 

【参考記事】≪ビジネスジャーナル≫携帯電話基地局、周辺住民の「がん死亡率」高く…5G、一部欧州で中止、人体へ影響懸念

 

2016年08月30日 (火曜日)

日本人の3.0~4.6%が電磁波過敏症、早稲田大応用脳科学研究所の研究グループが発表

電磁波過敏症が電波による客観的なリアクションであることを裏付ける研究結果が発表された。

早稲田大応用脳科学研究所の研究グループ(代表:北條祥子尚絅学院大名誉教授)がまとめた研究結果で、日本人の3.0~4.6%が電磁波過敏症の症状を訴えているという結論をだした。

この数字は、1万人あたり300人から460人、10万人都市であれば、3000人から4600人が電磁波過敏症になっている計算になる。

以下、河北新報の記事を紹介しよう。

■<電磁過敏症>日本人の3.0~4.6%に症状

筆者は2010年ごろから電磁波過敏症の取材を続けているが、人体が電波を受けることで起きるリアクションは、客観的な事実である。「気のせい」ではない。人間の神経細胞は微弱な電気で制御されているわけだから、そこに電波を被曝させると、何らかのリアクションが起こるのはむしろ自然である。

ただ、人体には抵抗力が備わっているので、電波を被曝した人がすべて同じ症状を呈すわけではない。平気なひともいれば、重い症状を示す人もいる。

極端な場合は、携帯電話やスマホの「圏内」で生活できないひともいる。たとえば長野県伊那市の塩田永さん一家は、重度の電磁波過敏症で「圏外」の山中で生活している。携帯電話が普及したことで、引っ越しを余儀なくされ、生活圏を狭められた典型的な例である。

塩田さんは、パン職人なので、都市部から山中へ引っ越したのに伴い、生活圏とビジネスの範囲を極端に狭められてしまった。電磁波過敏症を社会的な観点から捉えると、人権問題でもあるのだ。

◇化学物質による被曝と電磁波過敏症

電磁波過敏症の人を取材する中で、筆者はある特徴に気づいた。ある時期に、強い化学物質に被曝した体験を持つ人が多いことである。たとえば、塩田永さんの場合、若いころに水道配管の仕事に従事しており、その時に接着剤を多量に吸い込んだと話している。

また、主婦のTさんの場合は、自宅を新築した際に、シックハウス症候群になった経験がある。新築の家に使われた塗料などが原因だと思われる。

Fさんは元ペンキ職人である。仕事の中で常に化学物質に被曝していた。自宅の寝室にテント(布に金属を埋め込んだもので、マイクロ波を遮断する)を張って、その中で睡眠を取るようにしている。

もちろん化学物質による被曝歴がない人であっても、携帯電話の基地局周辺に住んでいるために、24時間、多量のマイクロ波を浴び、その結果、電磁波過敏症になったひとも少なくない。その典型例は、KDDIの基地局撤去を求めて提訴した延岡市大貫地区の住民たちである。延岡のケースは、頭痛や耳鳴りといった症状にとどまらず、鼻血も多数報告されている。

裁判は住民側の敗訴だったが、裁判所は被害そのものは認定している。この裁判については、合理的な理由がないのに、裁判官が急に交代するなど、いわゆる「報告事件」に指定されていた可能性が高い。

「報告事件」とは、最高裁事務総局の意向に沿わない判決が予測されるとき、最高裁事務総局が人事権を行使して、裁判官を交代させる裁判を言う。裁判の進行は、書記官から「報告」される。

「報告事件」が汚職の温床になっていることは言うまでもない。