横浜・副流煙裁判の口頭弁論、4月16日、注目される作田学医師の見解
横浜副流煙裁判の口頭弁論の日程は次の通りである。
日時: 4月16日(火)10時
場所: 横浜地裁 502号法廷
横浜市中区日本大通9
(みなとみらい線・日本大通り駅から徒歩1分、JR京浜東北線・関内駅、横浜市営地下鉄線・関内駅から徒歩約10分)
この係争の構図については、後述する「事件の概要」を参照していただきたい。
ところで3人の原告のひとり、A氏が元喫煙者であった事実が判明したのを受けて裁判所は、原告3人の診断書を書いた作田学医師による見解を示すように原告に求めている。その期限が3月末に迫っている。
原告A氏は、煙草をめぐるトラブルが発生する約1年前まで、煙草を吸っていた。それにもかかわらず作田医師は、A氏を受動喫煙症と診断し、副流煙の発生源を被告宅と事実適示したのである。
しかし、A氏に禁煙歴があることを考えると、「化学物質過敏症」の原因は、みずからの能動喫煙である可能性の方が高い。煙草の害に詳しい作田医師がどのような見解を示すのかが注目されている。
また、作田医師は、原告B氏を直接診察せずに診断書を作成して、受動喫煙症と診断した。が、患者を診察せずに診断書を書くことは、医師法で禁じられている。これについても、作田氏の見解が示されるものと思われる。
作田医師の診断書についての被告の主張は次の通りである。準備書面(7)
を紹介しよう。
【事件の概要】
この裁判は、マンションの2階にすむ横山家(仮名)の3人(夫妻と娘)が、同じマンションの1階に住む藤井家の家主・将登さんに4500万円の金銭支払いや喫煙の禁止などを請求したものである。
将登さんが自室で吸っていた煙草の副流煙が原因で、原告3人が化学物質過敏症になったというのが、提訴理由だ。原告は、将登さんの妻・敦子さんも、煙草を吸っていたと主張している。
この事件の最大の問題点は、化学物質過敏症がだれでもなる可能性のある病気であり、その原因もイソシアネートなど、多種多様であるにもかかわらず、藤井将登さんの煙草の副流煙と断定している点である。たとえ煙草の煙であっても、その煙草の発生源は分からないはずだ。団地内に自然発生的にできた「喫煙場」である可能性もあれば、藤井将登さんとは別の住民が吸った煙草の可能性もある。
原告は、戸別に「煙草を吸っているか否か」をアンケート調査したが、煙草をめぐるトラブルが発生している団地で、「煙草を吸っているか否か」を質問されたら、「吸っていない」と答えるのが常識だろう。アンケート調査は信憑性がない。
さらにマンションから50メートルほどのところに幹線道路があり、そこからの排気ガスも団地に流れ込む。原告の1人は、「宮田診断書」の中で「車の排気ガス」に反応(10段階で8評価)することを認めている。これが原因の可能性もある。
また、原告の陳述書からは、新築マンションに入居した生活歴(シックハウス症候群の疑惑)がある事実、医療機関に長期通院するなど日常的に化学物質に接してきた事実、携帯電話のユーザーである事実などが読み取れる。それが化学物質過敏症を引き起こした可能性もある。
もっと広い視野でみると、花粉も化学物質過敏症の引き金になる。
ちなみに横山家の家主・明さんは、元喫煙者だった。このことを昨年の10月まで、裁判所に報告していなかった。
つまり、化学物質過敏症の原因が藤井将登さんが肺から吐き出した煙であると断定することはできないのだ。原告の山田義雄弁護士は、明さんが元喫煙者であることも知っていた。それにもかかわらず原告3人の化学物質過敏症の原因が藤井将登さんの煙草にあると主張し、それを前提に裁判所へ資料を提出してきたのだ。
事件の舞台が団地ということもあり、原告の主張は、多くの住民の耳にも入っている。裁判を取り下げるべきだとの声も上がっている。
ちなみに化学物質過敏症の裁判は、化学メーカーなどを被告とした裁判は、過去に提起されているが、いずれも訴えが棄却されている。個人を、しかも、煙草の煙が化学物質過敏症の唯一の原因として訴えたケースは、横浜のケースがはじめてだ。原告3人が化学物質過敏症である可能性は高いが、何が原因なのかは特定できない。
生活環境の悪化が原因で、化学物質過敏症を誘因する物質があまりにも多いからだ。その代表格のひとつが、芳香剤などのイソシアネートである。米国では大きな問題になり、規制が始まっているが、日本は野放し状態だ。
携帯電話の電磁波も大きな要因のひとつだ。その意味で、原告宅の近辺に携帯電話の基地局がないかどうかを確認する必要もある。また、高圧電線なども電磁波の発生源になる。